私の講師体験記
私は講師を始めて約8年程です。
音大時代からヴァイオリン講師を始め、現在も本業のオーケストラ奏者の傍ら音楽教室やスカイプレッスンで講師をしています。
最初にヴァイオリン講師を始めたのは19歳の時で、音大卒業後イタリアに移住してからもイタリアで音楽教室に所属したりプライベートなどでレッスンをしています。
そんな私の細々とした講師歴の中での体験談を日本での経験とイタリアでの経験の両方を踏まえていくつかご紹介したいと思います。
あくまで私の体験談ですので全ての音楽教室、先生が記事の通りとは限りません。
尚、生徒さんや教室のプライバシーの為に詳細に書けない部分もありますがどうかご了承くださいませ。
目次
音楽教室に所属すると
音大生の頃、定期的に出来て克自分の勉強している事を生かせるそれなりに専門性のあるアルバイトとして音楽教室のヴァイオリン講師を大学の紹介しているアルバイト紹介をしているサイトを通して見つけました。
大学卒業までそこに所属しレッスンしていました。主にその当時の事と現在所属しているイタリアの音楽教室の話を踏まえて書きたいと思います。
1.収入の話
早速現実的な話ですが、大事な話です。
音楽教室だと大体お月謝の半分前後が先生の取り分になります。正直そんなに沢山貰えません。
音楽教室も商売なので取り分がそれだけあるのも仕方ない事ですがそれだけ取られてしまうならプライベートでレッスンした方が100%お月謝が貰えるので収入面では決して良い環境ではないと言えます。
イタリアでも現在音楽教室に所属しています。
イタリアの音楽教室で教えていて思うことは、日本の音楽教室はそれでもイタリアよりお給料が良い事と、お給料の支払いがこちらから催促しなくても毎月定期的にあるという事です。
イタリアの音楽の(ヴァイオリンに限らず)レッスン代の相場は日本より安いです。そして音楽教室に限らずお給料の支払いが遅いのも日常茶飯事です。
音楽教室によって勿論異なりますが、少なくとも今いる教室ではお給料は数か月に一度まとめて払われるという形になっています。
イタリアの音楽教室は先生側のレッスンの変更やキャンセル等に比較的寛容なのでその点はありがたいのですが、お給料に関しては日本の方が良いと思います。
そう思うと日本の音楽教室は先生の立場をより考慮しているのではないでしょうか。
2.先生側の立場や権利
所属していた日本の音楽教室での先生の立場は行動の制約があるものの音楽教室によってそれなりに守られていました。
生徒さんとのトラブルがあった場合(子供の生徒さんの親御さんが所謂モンスターペアレントだった等先生側)音楽教室が間に入って対処をしてくれるので一人で悩む必要がありません。
この点は音楽教室に所属している方が安心してレッスン業だけに専念しやすいと思います。
発表会は音楽教室というくくりでやるので事務的な事や雑務を分担できるのも助かります。
ただ、音楽教室に勤務している以上音楽教室で教えている生徒を自宅で教えてはいけない、生徒とのやり取りでも重要な内容は音楽教室にも報告、または音楽教室を通して連絡するなどの制約はあります。
3.音楽教室で教えるメリット・デメリット
前の話といくつか重複はしますが、メリットとしては
- トラブルがあったときに教室側で対処してくれる
- 教室で教えている他の先生と情報の交換が出来る
- 発表会やイベントを教室側で運営してくれるので負担が少ない
- どうしてもレッスンをお休みせざるを得ない時にレッスンが長期で空かないよう代理の先生を用意してくれる
講師を始めた頃は特にどのようにレッスンしていくか、生徒との関わり方などわからない事が多かったので音楽教室を通して他の先生がどのようにしているか情報を手に入れる事が出来るのがありがたかったです。
デメリットとしては
その他、私の勤務していた音楽教室は自宅から遠かったので通勤が大変でした。
音楽教室にいると生徒さんだけでなく色々な方に関わることが出来たので良い経験だったと思っています。
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イタリアでの話
イタリアに来て4年目になるところですが、この間に日本ではまた違った講師としての経験をすることになりました。
イタリアでは日本にいた頃と同様音楽教室でのレッスンに加え、自宅でのプライベートレッスン、音楽院でのアシスタント、講習会でのアシスタント等を経験してきました。
それぞれの体験した事やどういった事をしたかなどを簡単に紹介していきたいと思います。
1.音楽教室
去年から友人の元ホストマザーが経営している音楽教室でレッスンをしないかという誘いからイタリアでも音楽教室に所属することになりました。
比較的レッスンの時間に関して柔軟な事、先生と生徒とのやり取りに干渉がほぼない等日本で勤務していた音楽教室と比べると先生に任せている事が多いです。
そしてやむを得ない場合自宅でレッスンをしても大丈夫です。(音楽教室のレッスン場が満室でかつレッスン室の空いている時間にレッスンが出来ない等)
そしてレッスン代の相場が日本より安いのでお給料も日本より少ないです。ただ、音楽教室側の取り分は日本より少ない割合だと思います。
2.講習会、音楽院でのアシスタント
音楽院やアカデミーの先生の元でレッスンを受けながら、大体二十歳を過ぎていて優秀な生徒は先生にレッスンの助手をするよう頼まれることがあります。
お給料を貰って仕事をするというよりかは奨学金という感覚でレッスン代や授業料が無料になる等音楽教室で働く場合と条件が異なります。
助手としての仕事は
- 小さい子のレッスンの下見
- 基礎、テクニックを中心としたのレッスン
が主な内容でした。時には先生のレッスンに付き添って他の生徒の問題を共有したり意見したりします。
講習会ではグループで音階や基礎の内容をグループ形式でレッスンしたり、曲の中で難しいパッセージの練習の仕方を考えたり、練習するときに何を意識するかなどを話しました。
年が近いので友達感覚で音楽やヴァイオリンの事に関して相談に乗ることが出来るので私自身多くの発見が出来て良い経験だったと思っています。
音楽院では室内楽(合奏)のクラスの助手をしていました。室内楽の先生はチェリストだったのでヴァイオリンの技術的な事を補助するためにレッスンに付き添う事が主な助手としての仕事でした。
3.プライベートでのレッスン
プライベートでのレッスンは日本でもしていましたがイタリアに来てからの方が経験は多いです。
特に私が過去にも今にもレッスンで苦労しているのは教える内容よりイタリア語です。
言葉に関してはイタリア人の生徒から毎度学ぶので語学の勉強になって有難いです。
音楽院でアシスタントした延長で基礎や音楽院でのレッスンでは足りなかった事の補助を自宅でレッスンするという形が現在は多いです。
また、オーケストラの団員として音楽院ではなかなか出来ないオーケストラの曲のレッスンを頼まれる事もあります。
レッスンする内容は基本的に音楽教室やアシスタントですることと特に変わりはありません。
どこかに所属するかしないか、支払いを直接先生にするかしないか等の違いに過ぎません。
最後に
日本とイタリア、二つの国でレッスンをしてきましたが特に大きな差があるわけではないと思います。
そして、熱心にレッスンすれば生徒もそれに影響されて頑張ってくれる事が最も先生をしていて良かったなと思う瞬間です。
私にとって忘れられない出来事は日本にいた時に教えていた生徒が私のクラスを卒業するときに涙ながらにお別れして、私の演奏会に来てくれて再び会った時にも泣きながら再開を喜んでくれた事です。生徒に慕われる事は先生にとって幸せな事ではないでしょうか。
生徒の成長するたびに嬉しいと思うと同時にもっと自分自身勉強をして成長しなければと思います。
音楽に終わりはありません。常に勉強を続けられるヴァイオリン講師でありたいです。