FACCIAMO LA MUSICA

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トリノではどんな演奏会、音楽活動が行われているか?

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トリノという街は決して大きい街ではありませんが、中心地は非常に栄えています。

 

イタリア全体で言える事ですが、日本と比べて芸術・文化活動が盛んな気がします。演奏会を企画したり演奏家を支援する財団や団体がトリノだけでも数多くあります。

その中でも特に重要で知名度の高いものをご紹介します。

 

記事内にいくつか団体、財団等のリンクを貼っておりますので、もしトリノに訪れる際には一度チェックしてみてください。

 

 

 

 

演奏会のStagioneの時期

どこの劇場やホールもStagione(シーズン)と呼ばれる時期があり、その期間は定期的に公演が行われています。

 

シーズンの時期というのは大体10月頃から6月頃までです。それ以外の時期はバカンスの時期なので閉まる、もしくはフェスティバルや特別公演という形で短期間集中もしくは不定期の公演が行われることが多いです。

 

 

イタリアに限らずヨーロッパはこのシーズン制度を用いて公演スケジュールを組んでいる劇場や団体が多いと思います。

 

オペラ公演

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トリノ王立劇場内ピット


トリノにはトリノ王立劇場(teatro regio di torino)と呼ばれる歴史あるオペラ劇場があります。

 

 

歴史は250年を超える歴史を誇っており、プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」や「マノン・レスコー」の初演が行われた地でもあります。

トリノの心臓部分とてもいえるであろう王宮広場(piazza castello)に位置し、公演以外にも連日観光客や学生たちがステージツアーや見学にも来ています。

 

イタリアの劇場だけあって、やはりイタリアものの公演が多く取り上げられています。

劇場オケはオペラ・バレエ以外にも月に1、2回程オーケストラ公演を行っています。

 

私はトリノ王立劇場のオケにはエキストラで乗る事があります。

オケの雰囲気は、イタリアらしく明るく皆お喋り好きな人が多いです。

 

 

また、このオケのロシア人のコンサートマスター(セルゲイ・ガラティノフ氏) 、彼のソロはいつ聴いても素晴らしいです。

 

毎年シーズンのどこかに彼がソリストとして舞台に立つ公演があり、毎回好評の嵐です。

 

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劇場ホワイエの大広間

劇場の建物は1970年代に建て直されており、モダンなながら高級感のある雰囲気があります。

 

 オーケストラ公演

トリノにはいくつかオーケストラが存在します。

オーケストラのみの公演もしているという意味で、この中にトリノ王立劇場オケも入るのですが、オペラ公演のところで書いたので省略します。

 

1.RAI国立放送交響楽団

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RAI放送交響楽団の拠点地、Auditorium della Rai di Toscanini

RAIはイタリア国営の放送局です。日本でいうNHKと同じような存在です。RAI国立放送交響楽団(Orchestra Sinfonica Nazionale Della Rai di Torino)はそのRAIのオーケストラです。

 

 

NHK交響楽団の拠点は日本の首都である東京であることを考えると、RAIのオケがなぜ首都のローマになく、トリノなのか不思議に思うかもかもしれません。

歴史を辿ればイタリアが建国当時の首都がトリノだった名残りだそうです。

 

私はこのオケのオーディションを受けて合格し、現在はここで働いています。

シーズン中の定期演奏会は基本的に毎週木曜日と金曜日に行われます。

 

オペラ大国イタリアの数少ない代表的なイタリアの交響楽団です。

ジェームス・コンロンが現在は常任指揮者で、キリル・ペトレンコやミケーレ・マリオッティ等の実力ある指揮者が、ヴァディム・レーピンやジュリアン・ラクリン、レオニダス・カヴァコスベアトリーチェ・ラーナ等の一流ソリストが客演で来ています。

 

RAIのオケでは新曲や現代曲シリーズ、ジャズや映画音楽の公演も中にはあり、変わり種が多いオケでもあります。

 

チャイコフスキー:交響曲第5番

チャイコフスキー:交響曲第5番

 

 

 

2.トリノフィルハーモニー交響楽団

トリノフィルハーモニー交響楽団(Orchestra Filarmonica di Torino)はシーズン中、月に一度の定期演奏会を行っています。

 

 

演奏会は基本的に火曜日にトリノ音楽院のホールで行われ、その他に日曜もしくは月曜の夕方にゲネラル・リハーサルがヴィットーリオ劇場で一般公開されます。

 

毎年シーズンを通して何かしらテーマを掲げてプログラムを組んでいます。

今年は時間(TIME)をテーマとし、開演時に演奏会のテーマに沿ったテキストの朗読があり、オケの演奏が始まります。

プログラムの独自性や企画の仕方など工夫を凝らしていて、固定のお客さんを掴むのが上手いオケだと思います。

 

 

弦楽オケの公演も毎年いくつか組んでおり、全体的に小規模の編成のオーケストラです。

定期以外にもクレモナのストラディヴァリフェスティバルやトリノ王宮フェスティバル、モンカリエリジャズフェスティバルなどの音楽祭での演奏も過去に行っています。

 

 

私はトリノに留学をして初めて働いたオケがこのオケでした。コンマスセルジオ・ランベルト氏とは音楽院でも関りがあり、彼から沢山の演奏のヒントを貰いました。

 

特に留学一年目の時には、このオケは私の心の支えの一つでもあったと思います。

それくらいオケのメンバーは皆フレンドリーで仲良しです。

 

3.Lingotto Musica

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オーケストラの団体ではなくホールですが、オーケストラの演奏会を扱っているのでご紹介します。

 

リンゴット(Lingotto)はトリノの南の方に位置する大型商業施設展示会場で、昔はフィアットの工場だったそうです。

その施設の一部に音楽ホールがリンゴット・ムジカ(Lingotto Musica)です。

 

 

月に一度くらいの頻度で行われる演奏会は毎回違う指揮者、プロの演奏団体が出演します。

過去にはベルリンフィルコンセルトヘボウ管弦楽団等有名なオケがこのシーズンの演奏会の一つに組まれています。

 

室内楽・ソロ

室内楽やソロの演奏会は大小多くあるのでここでは一つだけご紹介します。

 

また別の機会にトリノでソロや室内楽を扱ったシーズンを組んでいる団体をもう少し詳しく紹介したいと思います。 

 

1.Unione Musicale

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主に室内楽・ソロの演奏会を多く企画している財団としてトリノではウニオーネ・ムジカーレ(Unione Musicale)が特に大きいです。

 

マリオ・ブルネロやトリオ・ディ・パルマ、レオニダス・カヴァコスユジャ・ワンのデュオなど、国際的な音楽家の演奏会が多くある一方で、若い音楽家シリーズ児童向けコンサートワークショップ等、客層を幅広く獲得している財団です。

 

 

回数券定期(abbonamento)だと自分で行きたい公演を25個選んでたったの60€(約7500円)です。(学生はその半額!)

 

様々なテーマで演奏会を企画しているので自分に合った演奏会が見つかるのではないのでしょうか。

 

 

最後に

このようにトリノは文化活動が盛んです。

著名な音楽家が演奏しに来るという事は、そういった人から学べるチャンスもあるという事です。

 

 

音楽を勉強する場として有名な地ではありませんが、私自身はトリノで沢山勉強が出来、様々な音楽家との出会いを通して自分の成長に繋げられたのではと思います。

 

良い演奏会に行けば、純粋に充実した時間を過ごせたと幸せな気持ちになります。 

トリノに滞在するなら是非これらのうちのどれかの演奏会に足を運んでみてください。

 

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