FACCIAMO LA MUSICA

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コロナの影響でイタリア在住の私に起こった事

現在どこもかしこもコロナウイルスの話題で、この話題をいつ書くべか迷っていて暫くこの記事を下書きにしたままにしていました。

 

イタリアでの感染源のロンバルディア州の隣、ピエモンテに住んでいる私の体験の上でコロナの影響でこれまでに起こった事、そして現在の状況について書きたいと思います。

 

 

一月

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人づてに中国で感染症が流行り始めていると聞いて、ちょうどその話を聞く少し前に3月に日本へ帰国する事を決めて航空券のチケットを予約したところでした。

 

まだこの頃は日本もイタリアも感染が広がっていなかったので、3月の帰国は気を付けなければいけないけれど帰れるだろうと思っていました。

普通に仕事もしていたし外出も何の問題もなく、感染の広がりも中国またはその近辺での規模だろうという雰囲気がありました。

 

 

二月

初旬

二月からがとても急激でした。

私がコロナに対して強く意識し、毎日動画サイトやニュースサイトでコロナの状況を確認するようになったのは二月でした。

 

 

また、サンタチェチーリア音楽院でアジア人のみがレッスン中止となったニュースにアジア人差別だと多くの反感を買ったのもこの時期でした。

イタリアで音楽を勉強し、音楽で仕事をしている私にとって衝撃のニュースでした。

 

サンタチェチーリアの件に関しては過去数か月に中国に滞在した人という条件ではなく、中国に滞在した事のない韓国人や日本人、その他アジア人にも対象とされる処置だったので批判されるのは当然の事だと思いました。

 

ネットの記事やSNSでアジア人がコロナの影響で海外で差別される事が増えたと知り、私自身も一度だけバスに乗ったときに似たような差別が起こりました。

 

www.asahi.com

 

中旬

中国の武漢の状況を見てとんでもないことになっていることを知りましたが、まだイタリアが中国を超える感染国になるとは思っておらず、街も普段と変わらない感じでした。

 

私は先程書いた通り3月に日本に帰る予定だったので、私の働いているオーケストラからは日本に本当に一時帰国するかそのままイタリアに留まるか連絡するよう言われました。

この時は日本の方がイタリアより感染者が多かったので危険地帯に旅行したとして、日本からイタリアに戻るって来た時、イタリア到着後2週間の休職をするよう言われました。

 

結局日本で予定していたことがコロナの影響でキャンセルになり、日本に帰る意味がなくなってしまったので帰国を諦めることにしました。

 

そこで予約した航空券の返金を求めようとしたのですが、私の予約したアエロフロートの航空券はこの時点で返金は不可能だと言われ、日程の変更なら手数料を払えば可能というので変更をしました。

この状況で返金は出来ず、変更でも手数料を取るのかと思うと少しイラっとしてしまいましたが予約した航空会社が悪かったのでもう仕方がありません。

 

 

下旬

ロンバルディア州での感染者の増え方が爆発的となり、ついに2月の最後の週の演奏会が急遽キャンセルになり、そこから現在まで私の働いているオケは活動を休止したままとなっています。

 

2月の最後の週をキャンセルしたものの、3月の最初の演奏会は予定していました。

勿論職場に入るときはロンバルディアや感染者の多いアジア圏に滞在したか、体調などの質問票を提出しなければいけませんでした。

 

3月最初のリハーサルは予定していた指揮者が急遽変更となったものの1日目は普通に行われました。

しかし、2日目の朝に代表が急遽キャンセルをするという決定を下し中止となりました。

 

その翌週にはスペインへの演奏旅行もあったものの、それも中止となり胸が苦しくなるばかりでした。

 

籍を置いている音楽院やアカデミーでも休校になり、現在も休校のままです。

特に卒業試験を控える子達にとってはタイミングが悪いとしか言いようがなかったと思います。

 

3月

初旬

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私の働いているオケ、RAIが4月3日まで休止という公表をしました。

同じくトリノ王立劇場、ミラノのスカラ座も4月3日まで全面休止となりました。

 

アリタリアが日本への直行便を中止する公表などイタリアを行き来する飛行機にもかなり影響が出始めました。

 

交換留学でトリノにいた子達は急遽日本に帰国となり、今どうなっているのかわかりませんが恐らくこのまま今年度の交換留学は終了になったのではないかと思います。

 

 

周りの様子としては、外出時は気を付けるものの、街はまだ活気がありました。

あくまで自粛であり、外出禁止でなかったので公園や田舎に行く人も結構いたと思います。

 

私は一度だけバスでコロナと囃し立てられ嫌な思いをしたのでそこから極力外出せず、全くバスを使わず自転車で買い物をしていました。

 

 

しかし数日のうちに外出禁止令が出て、不要な外出で罰金になる事も決まりました。

この罰金の決まりで感染者を超える数の罰金の取り締まりがあったというので取り締まりに怯えて外出する人が減ったように思います。

 

 

中旬

仕事もなければ学校もなく、ただ家で過ごすばかりです。

私の知り合いもコロナにかかり、もう誰がかかってもおかしくない程近い存在なのだと思いました。

 

スカイプでのレッスンを行える先生から連絡があり、いくつかオンラインでのレッスンが始まりました。

 

楽器のレッスンはマイクが自動調整されてしまい、小さく弾くと大きく聞こえ、大きく弾くと小さく聞こえる現象が起こり普段のレッスンと状況が違いやはり環境としてはあまり良くありません。

 

高いレベルのレッスンになるほどオンラインでは難しくなると思いました。

スカイプのマイクの問題の解決の為、録音をして先生に送り、スカイプで出来る内容とあわせる感じでレッスンを一応成り立たせています。

 

職場であるオケに関しては、同じセクションの人が皆で動画を取ろうと提案をしてくれて、一人2小節ずつ弾いて繋げるという面白い企画を提案してくれました。

この動画はRAIのオケのフェイスブックページで近日公開されると思います。

 

下旬

この期間、全く家から出ませんでした。

正直何も出来ない事に結構イライラもしていました。

 

最も感染者と死者が多い時期で一日4000人を超える感染者、1000人弱の死者の統計が出ていました。

日本の家族からも心配されましたが、家から全く出れないので何のしようがありません。

 

外出禁止の為、家にずっといる事でのストレスや仕事がない事の不安などで家庭での喧嘩や暴力が絶えず離婚になるケースが増えていると聞き、実際知り合い伝にある夫婦が離婚したと聞きました。

 

差別事件といい、離婚といい、人間関係にも亀裂を生むコロナが恐ろしく憎くて仕方がありません。

 

 

四月(現在)

4月3日に外出禁止の解除、RAIのオケおよび劇場関係は4月3日以降から活動再開の予定でしたが感染者の状況から政府は外出禁止を延長し、現在に至ります。

 

実は3月中旬に滞在許可証の関係で労働組合に行く予定を取り付けていたのですがそれが叶わず、4月8日にずらしてもらいました。

しかしこの状況で8日に行けるわけもなく、つい先日労働組合からは5月以降でないとオフィスが空けられないと言われ、結局私の予約は5月中旬となりました。

 

そもそも移民局も機能しておらず、かれこれ一か月は閉鎖しています。

その影響を受けて滞在許可証の期限を一か月延ばすという事になりましたが、この状況では一か月どころかさらに期限を延ばしてもわらなければ期限切れの近い滞在許可証を持った外国人は不法滞在となってしまいます。

 

 

私自身、無事5月に書類を作りに行けたら良いのですが、これからどうなるか予想がつきません。

ただ状況が良くなるのを祈るばかりです。

 

漸く最近になって感染者の増え方も減ってきましたがそれでも2000人前後は毎日増えています。

 

音楽院は今年度は休校、9月の卒業試験も中止にするとのことで、次年度が始まる11月まで学校が閉まる可能性もあります。

今年度卒業予定の子は本当に可哀想だと思います。

 

学費に関しては、今年払った人は次年度の半年分は学費の支払いをしないで在学できるそうですが、返金は行わないとのことです。

私の在籍している単科コースは学費が安いので対象に入るのかはよくわかりません。

 

とにかく、夏が過ぎるまで自粛は続くとしたら、外出禁止が解けたとしてもオケが活動出来るのかと疑問に思います。

まだオケからはいつ再開というはっきりした答えはありません。

 

もしかしたら今年のシーズンは全てキャンセルのままになるかもしれないし、この調子で感染者を減らして解除後も問題なければ早く再開できるかもしれないし、とにかく状況次第だと思います。

 

今はとにかく外出を控え、楽器を弾くモチベーションの為に動画を撮影してSNSに投稿したり新しい曲の譜読みをしてみたりしています。

 

レッスン : 初回無料体験レッスン