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ヴァイオリンの練習曲「カイザー」を使った練習方法

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ヴァイオリンには様々な教本があり、練習曲も多様です。

 

その中でも初心者から中級レベルの基礎を取り扱いながら36の短い曲から成り立っているカイザーを例に練習法をご紹介します。

 

 

カイザーの練習曲とは?

ハイリンヒ・エルンスト・カイザーというヴァイオリニストでありヴァイオリン指導者によって書かれた36の練習曲です。

 

楽譜の出版社によっては12曲ごとに巻が分かれています。

一巻はファーストポジションのみで弾く事が可能で、二巻からポジションチェンジを含む曲になります。

 

曲調やリズムは練習曲ごとにほぼ統一されており、単調になりがちですが、強弱等の指定が細かく書かれているので指導の仕方、練習次第で音楽的に弾く事が可能です。

 

 

カイザー ヴァイオリン練習曲(1) (ISEシリーズ)

カイザー ヴァイオリン練習曲(1) (ISEシリーズ)

  • 発売日: 2011/04/05
  • メディア: 楽譜
 

 

どの様に練習をする?

練習曲ごとに技術の課題が異なります。

練習曲を網羅することでヴァイオリンの多くの基礎の技術を学ぶことが出来ます。

 

一つの曲だけでも練習の仕方次第で無限に練習のヴァリエーションを見つけることが出来ます。 

 

今回はカイザーの第一曲目を用いてどの様な練習法があるかを解説していきます。

 

カイザー1番

カイザーを始めるならまず一番最初に練習すべき番号です。

曲によって学ぶ技術が重複している等の理由で36曲全て練習せずに飛ばす方も中にはいますが、1番は学べることが多い事と第一曲目ですので最も練習すべき曲だと思います。

 

譜読みをする

他でも言える事ですが、この曲で学ぶときに特に留意すべき点は以下の通りです。

  • 左手の強化、音程(臨時記号に注意、音によって指の間を広げる・狭める事を意識しているか)
  • 移弦(どの音でどの弦を使っているか理解する)
  • 弓の使い方(弓をどの部分で使っているか、楽譜上の強弱に合わせて弓の使い方を変化させる)

また、出版社によっては練習のヴァリエーションについて書かれているのでそれを一通り練習する事も効果的です。

 

まず譜読みの段階では、だらだらと止まったり弾き直しながら最初から最後まで練習するのではなく、4小説や8小節を取り出しで繰り返し弾いていきます。

 

毎日8小節や16小節等と決めて少しずつ譜読みを進めていく方が早くかつ丁寧に仕上がります。

 

 

では、数小節の短い練習ではどのように練習すればいいでしょうか。

 

  • 弾く前に楽譜を見て何の音が書かれているか理解する、または歌ってみる
  • 真ん中弓あたりで弾きながら音をゆっくり確認する作業をする
  • 音の確認が出来たら全弓でゆっくり弾く
  • 先弓、元弓でも弾く

この作業だけで少なくとも5回くらいは同じフレーズを練習する事となります。それに加え

 

  • 変え弓(スラーをかける、スラーとスタッカートの組み合わせで練習するなど)
  • リズムを変えてみる
  • 楽譜に書いてある音を想定して開放弦でどの弦を弾いているか練習する

変え弓に関しては本に書いてある変え弓の練習の例に沿ってやると良いと思います。

リズムは付点八分音符と十六分音符の組み合わせ、またはその反対等で練習する事です。

 

練習ではなく練習「曲」

指導法は様々ですのでどの様に勉強するかは生徒さんと先生によりますが、どうしてもとりあえず間違えずに弾ければ単調に弾いていてもそれでよしとしてしまうレッスンになりがちです。

 

しかし、練習曲でも単純に技術の練習だけでなく、技術に加えて音楽的な内容を一緒に考えていった方がより楽しく効果的に勉強できるのではないかと思います。

 

 

では、どの様に音楽的な事を考えたら良いでしょうか。

 

カイザーには結構細かく強弱の指示が書かれています。

強弱は音楽的な内容の一つと言えます。

 

強弱を意識するだけで曲らしくなっていきます。これを見落としがちですが非常に大切な情報です。

 

この強弱に合わせて弓の使い方や音の出し方を考えてみましょう。

最初の1小節目はフォルテで始まり、2小節目でディミヌエンド、3小節目にはクレッシェンド・ディミヌエンド、4小節目にはクレッシェンドがあります。

 

たった4小節を見ただけでも沢山の指示があります。

 

この強弱を表現するためには、例えば1小節目のフォルテでは弓をf字構のあたりで弓の毛を全て弦に当ててほぼ全弓使い、2小節目は3小節目にかけて弓を段々指板寄りで弦に当てる弓の毛、使う幅を少なくしていきます。

 

この事を意識すると音が変わり、表情も出てきます。

 

 

先程音楽的な、と書きましたがフレーズの山や方向、全体の流れや構成などを司るのは結局技術なしでは弾けません。

ただ、技術と音楽は常に関わりあっているので音楽的な事を考えることはテクニックの向上の手助けにもなります。

 

フレーズの山を持っていくためには弓の使い方を変化させる事が最も大きな課題となります。

 

言葉だけでは説明が非常に難しいので実際に先生にどの様に練習すれば音楽的にもなるのかレッスンしてもらう事が一番確かな事です。

 

 効率出来な練習とは

 練習はある程度繰り返すことや量は必要です。

楽器を弾く事に慣れるという意味で多くの時間を練習に費やすことは悪い事ではありません。

 

しかし、ただ意味もなく弾いているだけでは上達はしません。

練習する時に必ず意識して練習する事が大切です。

 

例えば先程挙げた留意点で左手の強化、弓の使い方と書きました。

この二つのポイントをいきなり同時にしようと思ってもすぐには出来ません。

 

一つのポイントに意識して練習し、慣れたら他のポイントを意識し、最後に両方できているか意識します。

練習するときは考えてから弾く事が大切です。

 

言葉では誰でも言える事ですが、実際やる側になると非常に難しいです。

 

また、1人で弾いているとどう弾いているかわからなくなるので録音、録画をして見直すのも客観的に見ることが出来るので良いと思います。

 

 

今回はカイザーの一曲から練習法について大まかに書きましたがまだまだこの一曲でも沢山練習法も考え方もあります。

 

もし質問、気になる事等ございましたらレッスンまたはお問い合わせにてご連絡ください。

cafetalk.com

 

カイザー ヴァイオリン練習曲(1) (ISEシリーズ)

カイザー ヴァイオリン練習曲(1) (ISEシリーズ)

  • 発売日: 2011/04/05
  • メディア: 楽譜