練習時間の使い方~短時間でヴァイオリンを上達するには~
学校や仕事、他の習い事もしているなかでヴァイオリンをやっている人がほとんどでしょう。
音楽を専門として学んでいる、仕事をしている人も同じく日々の練習時間の確保は常に大きな課題です。
それぞれ限られた時間の中でどの様な時間配分で行うかは人それぞれですが、私の普段の練習やレッスンから練習配分等でアドバイスするときに勧める時間の使い方を一部ご紹介していきます。
毎日どれくらい練習する?
年齢やレベル、どの様な目標をいつまでに達成させるかによって様々です。
小さなお子さんやまだ初めて間もない方にはまず、5分でもいいから毎日楽器を触る習慣を付ける事をアドバイスしています。
ヴァイオリンは難しい楽器ですので良い音で弾けるようになる為には毎日練習しなければいけません。
例えば毎日仕事や学校に行く前に5分だけ、夕飯の前に少し等、一日のスケジュールの中で習慣化しやすい時間に毎日繰り返すことが良いと思います。
それに慣れてきたら少しずつ練習の時間を長くしていけば良いでしょう。
目標とする練習時間
年齢や目標によって練習時間は様々です。
よく子供に対しては、年齢×10分が理想と言われます。個人的な意見としても、年齢×10分なら無理のない範囲で続けられる量だと思います。
例えば私自身の年齢別の練習時間は
未就学時 30分~45分
小学生低学年 1時間
小学生高学年 2時間
中学生 2時間~3時間
高校生 3時間~3.5時間
音大・院 4~5時間
大体ですがこんな感じです。勿論、行事等で多く時間が取れない時もありますので短くなる日もありました。
尚、中学生以降は休日やコンクール前は一日6時間~9時間くらい弾く事が普通でした。
小学生でもコンクールで優勝するような子は平日でも5時間練習するそうですが、本人が練習を望んでなければ小さい頃から沢山練習する事が良い事とは必ずしも思いません。
逆に音大受験前まで普通高校であまり練習出来ず毎日1,2時間程度という人もいますが、その人たちの中でも立派にプロになっているので結局は練習の仕方なのだと思います。
では、趣味でヴァイオリンを弾いているプレイヤーの方はどうでしょう。
仕事や家庭の事で毎日練習出来ない、というのが現実だと思います。
勿論練習を毎日欠かさない方もいますがなかなか難しいでしょう。
平日でも少なくとも5分は必ず練習するという曜日を決めたりして、その時間にアラームや通知を携帯に設定しておく等すると気持ちにスイッチが入ると思います。
練習に集中するには
曲を1フレーズ弾いたら楽器をおろしてしまう、3分弾いたらもう他の事が気になったり休憩をしてしまう等、練習に集中出来ず練習の時間を無駄にしてしまう問題は多くの人が抱える事でしょう。
練習に集中するために私がこれまでしてきた事をご紹介します。
- タイマーをかけてそのタイマーが鳴るまでは弾き続ける
- you tubeで作業をしている人の動画を消音でかけながら練習する
- 練習したいパッセージを決めた回数弾くまで練習を止めない
- 自分の演奏の録音を聞いて上手な人の演奏を聴いて演奏の違いを見つける
上の二つは邪道かもしれませんが結構効果を発揮してくれます。
特にyou tubeの動画は流していても実際は音を消しているし練習している時は楽譜や自分の手元を見ているので見る事はないので流す意味あるの?という感じではあります。
しかし、気持ちの問題で、誰かが自分と一緒に頑張ってくれているという気分になるので集中出来ます。
私の場合、集中できない原因は練習の目的が明確になってない事が多いです。
なのでまずは自分の演奏を分析、レッスンで先生に指導された事を踏まえて修正すべき部分をピックアップし、その部分を様々な練習のヴァリエーション(変え弓、リズム練習など)を使ったり回数を決めて(特に苦手な部分は100回くらい繰り返します)その目標が達成されるまで弾き続けます。
また、上手な人と自分の演奏を比較する事で自分に何が足りていないかがわかりやすくなるのである程度曲に慣れたらこの方法も行っています。
この練習法に関しては、芸大にいた頃に声楽科の先生が学生時代に先生の都合や長期休みなどでレッスンを受けられない時、どの様に過ごしたかという話をして下さった時に似たような話をされてそこからヒントを得ています。
上達と練習練習時間は必ずしも比例しない
私自身練習してなんぼ、と思う部分は少なからずあります。
特にイタリアでは、練習し過ぎだとか短い時間で練習を出来ないのは時間管理が甘いと言われた事もあります。
結局は質も量も大切です。
練習時間はある程度は必要ですが、練習内容も上達の近道の為には考えなくてはなりません。
先程の集中の話でした通り、何を練習で解決しなければいけないかを明確にしていなければただ弾いているだけでレベルアップにはなりません。
自分で練習の目的を探し、その目的を達成するために必要なプロセスを考えていく習慣が付いたらかなり問題を解決しやすくなります。
そして、正しい演奏の基礎知識と明確な目的を持って練習する事が理想です。
上達と先生の話
まずその正しい演奏の基礎知識はレッスンからです。先生が正しい基礎を教えられなければ生徒にやる気があっても上達しません。
コンクールで、○○先生の生徒ばかりが入賞していてこれは贔屓だという事をよく聞きますが、贔屓ではなく先生の指導が良いからその先生の生徒がコンクールでいい成績を取るのだと思います。(稀にコネの様な不思議な力がコンクールによっては働くので0とは言えませんが…)
つまり、効率よく上達したければ良い先生選びは必要となる訳です。
特に最初に習う時に正しい基礎を教えてくれる先生の元でレッスンを受けることが出来たら上達も早いですし、後々難しい曲に挑戦するときに変な癖で弾きにくい、癖を直さなければいけない等という問題に悩む事は少なくなるでしょう。
また、小さい頃から良い先生のもとで習っていて、そこまで練習時間が多くなくとも上手に弾いている子を見てきたので効率よく上達する上で先生の指導の力はかなり大きいと思われます。
最後に
私自身最初から基礎をしっかり教えてもらえる先生の元でレッスンを受けていた訳ではなかったので、後から音高・音大の先生に習い始めて正しい基礎を知ってから癖を直すのに時間が掛かりました。
演奏家としても実力のある先生の元で習ったり、マスタークラスを受けるたびに様々な練習法、考え方を聞き、試してはなるほど、と思う事を繰り返して来ました。
どれも非常に演奏をより良くするアドバイスです。
その経験から技術に合わせた練習法を考えたり、教材によってどの様な練習効果があるか等、練習法に関心を持つようになりました。
これまで学んだ素晴らしい先生方の教えをどの様な場面でどう使えばいいか考え、それを私の手助けを必要としている生徒さんに提案したいと思っています。
少しでも練習に関して役に立つ事柄がこの中で見つかれば幸いです。
また、質問・相談等ございましたらレッスンも行っておりますのでお気軽にご連絡ください。