弓の使い方で音楽が変わる
レッスンをしていても、私自身が弾く時も音楽的な内容を考えると必ず右手の弓の問題について考えなければなりません。
ヴァイオリンを弾く上で必ず必要な弓の使い方。
ではどの様に考えていけば良いのでしょうか。
弓の持ち方
弓の持ち方は流派やそれぞれの手の大きさや指の長さによって向き不向きな持ち方があるので必ずしも絶対にこれ、という様にしっかりと定義付けられる訳ではありません。
ただ、基本として体に無駄な力が入ってしまう弓の持ち方や極端に癖のある持ち方だと演奏に支障が出てしまうのでよく教本等に載っている弓の持ち方を参考にすると良いでしょう。
弓の持ち方に関しては多くの教本やサイト、動画などヒントが世の中に溢れているので私が細かく記事にする必要はないと思っていますがあくまで個人的な見解として弓の持ち方について説明します。
指と指はくっつかず、離れすぎず指一本分前後程の間隔であけて持ちます。
持つ際に、指の全ての関節が曲がれる状態で、柔軟になっている必要があります。
力が入りすぎてよく、親指や小指など突っ張った状態のまま弾いてしまう人がいますが、その状態では様々な音色を出す事が出来ず、単調な音しか出せなくなります。
弓の重さはそれぞれの弓のよって様々ですが、フルサイズの弓なら大体50g~60g程です。
決してとんでもなく重いものでもなく、力を入れずとも弓を持つことは可能です。
弓が正しく持てると長時間弾いても疲れませんし、腱鞘炎にもなりません。
私自身腱鞘炎になって弾けなくなったという事は一度もありません。
弓の使い方
弓の使い方は教えてもらう事もさながら、上手な人をよく観察する事も非常に役に立ちます。
演奏会や動画でプロの上手な人の演奏を観る時、よく体の使い方を見てみましょう。
何故彼らは音色の変化のヴァリエーションが豊富なのか、難しいパッセージでも音楽的に弾けるのか、それには体の使い方に秘密があると思います。
弓の使い方一つで音の変化をつけるには様々な要素を考える必要があります。
- 弓を使う幅・・・一つの音に対してどれだけの弓の量を使うか
- 弓の位置・・・弓のどの部分(元、中、先弓など)で弾いているか
- 弓のスピード・・・弓のスピードが遅い、速い、加速、減速しているか
- 弓にかかる圧力・・・弦にかかる弓の圧力がどの程度か
- 弦に当たる弓の位置・・・弓が駒近く、指板近く、f字構の上あたりかなど
少なくともこれらの要素を組み合わせる事で多くの音の出し方が生まれます。
弓を使う幅と弓の位置
弓を一つの音に対してどのくらいの幅、弓の部分を使うかという問題はスピードにも関係してきます。
例えば四分音符一つ弾くにも、弓を全て使うか、先弓か、元弓か、中弓か、またはより弓幅を少ない、多い量を使う等使い方の幅は星の数ほどあります。
しかし、単調に弾いているように聞こえたなら、弓の幅をどれくらい使っているか考えてみてください。
二分音符も四分音符、八分音符、はたまた長いスラーも短いスラーも全て同じ幅で弾いていたとしたら単調に聞こえてしまいます。
ダイナミックに弾きたいところは弓の幅を多くしたり、優しい音が出したいときには先弓でを使って少ない弓幅で弾いてみたり自分でこの表現にはこの弓幅が良いだろうと常に意識していく事で表現に幅が生まれていきます。
弓のスピード
弓のスピードを変化させるには極限まで遅い運弓、極限まで速い運弓の練習をする必要があります。
極限まで遅い弓の練習としては、30秒間弓をターンせずに一弓でロングトーンを弾く練習があります。
その際に常に同じ音量で弓のスピードを常に一定にし、音のムラを作らない事を意識します。
ゆっくりの弓の練習で弓のスピードを変えない事もスピードをコントロールするテクニックなので後々弓のスピードの変化を作るときのベースとして必要な要素となっていきます。
逆に極限まで速い運休は、短い音を元から先まで可能な限りの速い弓で弾きます。
その際にしっかり弓を弦に当てて弓先まで音のエネルギーが保たれた状態でいることがポイントです。
ただ無闇にがさがさと腕を動かさず、音を聴き、弓の動きを確認しながら練習します。
慣れていないと弓が滑ってしまったり音が上手く出ない等の事が起こるので一音一音丁寧に練習する事が大切です。
圧力と腕の重さ
弓の圧力というと私はヴァイオリンを弾く上で使ってはいけない言葉の様に感じてしまいます。
というのは、力を使って弓を弦に強く抑えつけるのではなく、腕の重さを使って弓に重さを乗せるイメージを持つ必要があるからです。
つまり弓の圧力という言葉を使うより、弓の重さ、または腕の重さをどれくらいかけるかという言葉を使った方が実際は適切ではないかと思います。
特に重音や力強い音を出したいとき、肩や腕が緊張してしまう傾向があります。
しかし、実際は肩や腕ををリラックスさせた状態で手首や指先も柔軟な状態で重さを乗せる意識をすることを意識しなければいけません。
この感覚は自分の身体と音を頼りです。
言葉では理解しづらいでしょうし私自身も言葉にすることは非常に難しいので実際に弾いて確かめる事を繰り返す事が必要です。
弦と弓のあたり方
最後の説明する要素として、弦と弓がどの位置で、どれくらいの弓の毛の量を使うかというポイントがあります。
弓の毛の数は約150本ほどあります。
弓の毛替えの職人さんやカスタマイズによって多め少な目はありますが大体これくらいが基準です。
そのうちの弓の毛を全て弦に当てて弾くか、3分の1の毛の量で弾くかで音の出方は変わります。
指板の方に弓を寝かせて弓の毛の量を少なくするとピアニッシモのような繊細な音が出ますし、力強い音が欲しい時は弓の毛を全て弦に当ててしっかりと弾く事で重量感のある音が出ます。
それに加えて弓と弦がどの位置に当たっているかという事を考える必要があります。
指板よりに弓を置いて弾くとこもり気味の柔らかい音が出ます。
逆に駒寄りで弾くと固めのはっきりとした音が出ます。
普段音階や基礎練習をする時は基本的にf字構の上あたり、つまり指板と駒の間の位置に弓を置いて弾きますが、駒寄り、指板寄りを意識して弾く事でより表現の幅が生まれます。
最後に
弓の使い方はこの説明だけだとなかなか理解しづらいかもしれません。
実際にレッスンで弓の使い方、練習の仕方を教わる事が効率よく上達する道だと思います。
もしさらに詳細が知りたい、ご質問等ございましたら無料体験レッスンも行っておりますのでサイトの方からご連絡下さい。