FACCIAMO LA MUSICA

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コンクールの話~学生音コン~

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今の時代、音楽をやっていて高いレベルを求めていくと大抵の人がコンクールを受けると思います。

私自身も決して多くはありませんがコンクールを受けてきました。

その中で最も思い出深いコンクールの思い出は全日本学生音楽コンクールです。今回はその当時の話をしていこうと思います。

全日本学生音楽コンクール

全日本学生音楽コンクール(通称学コン)は学生の為のコンクールとして日本で最も歴史もあり、権威あるコンクールと言われています。

過去の入賞者の多くはプロの演奏家として国内外で活躍しているので若手音楽家の登竜門として知られています。

コンクールの説明は詳しく説明されているページがございますので私が説明するよりずっと正確に知る事が出来ると思うので省きます。

課題曲も難しく、予選・本選・全国大会とありますが、まず予選を通るのもとても難しいです。
出場をする子はこの課題曲を毎日必死で練習し、本番に臨んでいます。


小学生の部

私が人生で初めてコンクールを受けたのは小学6年生の時の学コンでした。

今の時代、未就学児の為のコンクールがあるくらいなので、コンクールデビューは遅い方でした。

私は先生に勧められるがまま、よくわからずに受けていたので先生や親が練習するように厳しくて仕方なく練習していました。


この時はまだ全国大会の曲が自由曲ではなく本選の曲をそのまま全国大会で演奏する方針でした。
全国大会に進めるのも、各大会の1位のみでした。

この時の小学生の部の課題曲は予選がクライスラーコレルリの主題による変奏曲、本選がハイドンのヴァイオリン協奏曲ハ長調の第1楽章でした。

私はコンクールを受けるまでに弾いた曲で一番難しい曲はモーツァルトのヴァイオリン協奏曲くらいで、ブルッフやヴィエニアフスキやパガニーニなんて弾いたことありませんでした。
小学生が良く弾くクライスラーも勿論弾いたことはありませんでした。


この時に初めて東京の上手な子達のいる講習会に行ったりして、外の世界を知る事となりましたが、自分がどれだけ弾けていないのかすら良くわかっていませんでした。

勿論こんな感じで意識も低いので演奏順が1番だったことも運が悪かったとはいえ予選で落ちました。(演奏順が違ったとしても同じ結果だったと思います)


中学生の部

中学2年生になってから、音楽高校を目指すことを意識するようになり、そのためには音楽高校で教えている先生に習いに行く必要があるという事で音楽高校で習っている先生の元へ通う事になりました。

この先生に習い始めた時もとにかく衝撃だらけでした。

今までやってきた基礎を片っ端から修正され、とにかくその基礎のやり直しに中学時代は最も時間をかけたと思います。


その先生に習い始めたと同時に学コンの課題が出たので課題の中でひたすら基礎の修正を続けていうという感じでした。


この年の中学の部は予選がパガニーニのカプリスの13番、本選がモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番の1楽章でした。

この年が第60回目となり、この年から全国大会へ進める人数が増え、全国大会は自由曲となりました。

まだこの時もロマン派のヴァイオリン協奏曲なんて弾いたことがない状態だったので、ブルッフのヴァイオリン協奏曲を全国大会用に練習するよう言われ、練習しました。


この時はコンクールを意識するようになり、とにかく予選に通りたい思いで課題曲をさらっていました。

結果としては無事に予選に通りました。

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予選結果発表直後の写真

今でも私にとってのコンクールの思い出の中で最も嬉しかった出来事は、この年の学コンの予選に通った事とリピツァー国際コンクールの一次予選に通った事だと思っています。


本選は入賞はなりませんでしたが、本選は普通に楽しかったです。

自分としては予選のパガニーニをしっかり練習したという事で、これからもっといろんな曲を弾いていきたいというモチベーションアップにつながったと思うので自分なりに納得の結果だと思います。


勿論、先生やコンクールに挑戦する人の中には1位を取らなければコンクールに出る意味がないという人もいます。
その意見は勿論否定するつもりもないし、志が高くて素晴らしいと思います。

ただ、結果だけに囚われて音楽の本質を見失ってしまうならそう考えるのは良くないかなと思います。

コンクールを通して課題を真剣に取り組み、コンクールで色んな人の演奏を聴いて人の良い所・苦手な所から自分が演奏するときはどうしていくか、そうやって音楽家として成長する事が特に発展途中の若い人達には必要なのではないでしょうか。

それを続けた人が、最終的にいい結果に繋げているのではないかと思います。



そして、翌年の中学3年生でも学コンに挑戦しました。

この年の中学の部の課題曲は予選がパガニーニのカプリス20番で、本選がヴィエニアフスキのヴァイオリン協奏曲第2番の2,3楽章でした。
全国大会用にはブルッフスコットランド幻想曲の3,4楽章を選びました。

前年は予選の曲がちゃんと弾けるようになればいいとばかり思って本選の曲が疎かになりがちだったので、予選も本選もどちらもバランスよく練習する事を心がけました。


この年はピアノ伴奏を習っている先生がいつも頼んでいるピアニストには頼まず、私が普段習っているピアノの先生に頼むことにしました。

その選択が私にとってはいい結果を生んでくれたと思っています。


過去に聴いたコンクールで、伴奏ピアニストがヴァイオリニストとの相性が良くない様に聴こえたことが何度もあり、私の気持ちの上でもこのピアニストとなら絶対に信頼できるという人に伴奏を頼んだ方が良いと思っていました。

いつも習っているピアノの先生はいつもレッスンで沢山お話をして、学校の事や家の事、なんでも話せる先生だったからか、一緒に弾いていてもとても楽しく相性も良かったのではないかと今でも思います。


本選では3位ですが初めて入賞をする事が出来ました。
1位と2位が全国大会に出場できるので私は全国大会に進むことはありませんでしたが、全国大会の曲を受賞者記念演奏会で弾く事が出来たので弾くチャンスが増えたことが何よりも嬉しかったです。

この年、私のピアノの先生に伴奏を頼んで良かったなと思ったのは、本選の演奏が終わった直後に、ずっと練習では上手く出来なかった所が弾けた事を思い出してピアノの先生と母、私で顔を合わせて大笑いした事です。

結果が出る事はシビアですが、コンクールに楽しく参加出来た事はヴァイオリンを練習していて良かったと思える瞬間でした。

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高校生の部

高校1年生でも学コンに挑戦する事は続けました。

この年の高校の課題曲は予選がバッハの無伴奏ソナタの3,4楽章、本選がサン=サーンスの序奏とロンドカプリチオーソでした。
全国大会用にパガニーニのヴァイオリン協奏曲の1番の1楽章を練習しました。

なぜ全国大会にこんな曲を選んだのかと後で後悔する事になりますが、学コンの課題曲が出る前にヴァイオリン協奏曲を集めた10枚組のCDを買ってもらいそればかり聴いて、その中からミルシュテインの弾くパガニーニのヴァイオリン協奏曲が本当に素晴らしくて自分もこの曲を弾きたいと思ったので先生にこの曲練習したいですと言ったのでもう後には戻れません。


プロを目指しているくせに高校生になってもバッハの無伴奏をまともに勉強した事がなかったのでパガニーニとは違った難しさに苦労しました。

予選のギリギリまでひどいバッハの演奏だったので高校の先生にはこのままじゃヤバいよと何度も言われ続けました。
なんとか予選は通ったものの、音楽の仕組みをまだまだ理解できていなかったと思います。


本選の曲はワンボウスタッカートやスピカート等が沢山出てくる、器用さが必要な曲なので不器用な私には大変な曲でした。

結果は2位でしたが、本選の演奏では曲の最後あたりで止まって、ピアノの伴奏までは止まらなかったので音楽自体はストップしなかったのですが、ピアノが次の小節に入るところで私は入り直すというとんでもない失敗をしました。

それなのに2位だった事で、当時の2ちゃんねるの学コンスレに高校の名古屋大会の2位の人止まったのに入賞とかありえない、みたいなことを書かれて音高の友達と「アンチがいる、おもしろーい(笑)」とか言いながらそのコメントを見ていました。


全国大会は例のパガニーニのヴァイオリン協奏曲を曲目提出時に書いてしまったので弾かざるを得ません。

コンクールの本番まで、まともにこの曲を止まらずに弾いたことがないという非常にレベルの低い所で戦っていたので、本当にお恥ずかしい話ではありますが、本番で止まらずに弾けた事だけでもう嬉しかったです。

結果発表の後の講評では散々、何故この曲を選んだのか、あなたのレベルに合ってない、左手が軟弱、弓のコントロールが悪い等と厳しい事を言われました。

数年後に全国大会の審査員だった方にお会いした時、当時の話をしたら、良かったことなんて周りが沢山言ってくれるから苦手な事を指摘してもっと良くなって貰えたらと思って言っているからこれも愛だよとおっしゃっていました。

その審査員の方の厳しい言葉を聞くことが出来た事は忘れないし、それだけでも私はいい経験だったと思っています。

この年が私にとって最後の学コンでした。

最後に

最初からいい先生に習い、コンクールに出ても一発で優勝、入賞するような子もいますが、そういったタイプはごく一部だと思います。

それにコンクールがダメだったからといってそこで演奏家の道が絶たれる訳でもありません。あくまでその時の演奏の結果でしかありません。

最も大切なのはコンクールの為に曲と向き合い、何が良かったか、悪かったかを理解して次にその長所を伸ばし、短所を克服する糧にする事だと思います。

コンクールの結果だけにとらわれず、演奏する曲を表現し、音楽をするという事を心から好きだと思えると良いのではないのでしょうか。

今回は学コンの私の体験談をご紹介しましたが、まだまだ話せる事は沢山あると思います。

質問や気になる事等ございましたらご連絡ください。体験レッスンも行っておりますのでご興味ございましたらお申込み下さい。
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