演奏会を振り返る その1
これまで私が出演した演奏会の話をしていきます。
今回は主にイタリアに移住して1年目にあったソロと室内楽の活動を中心に紹介します。
出来たらオーケストラの話も含めてシリーズ化していければと思います。
イタリアで最初の演奏会
2016年秋にイタリア留学が始まったのですが、その少し前から既にイタリアで過ごしていました。
というのも、その年の夏は音楽祭と講習会に参加していたからです。
前年にクレモナで行われたコンクールで優勝し、その優勝者の副賞としてリサイタル、オケとの共演、奨学金付与などがあり、それの為に再びクレモナの音楽祭/講習会に参加していました。
約2時間のフルのリサイタルをしたのはこのクレモナでの演奏会が私にとっては初めてでした。
クレモナで知り合った日本人の楽器製作者さんとそのご家族や、私がその期間に宿泊していた所のホストマザーも聴きに来てくださったりと、まだイタリアでの知り合いが少ない中、知ってる人に来て頂いて思い出深い演奏会となりました。
弦楽オーケストラと協奏曲
先程言った通り、オーケストラとの共演が副賞としてあるという事で、リサイタルに加え、室内オケとバッハのヴァイオリン協奏曲を演奏しました。
午前中はレッスン、午後はオーケストラのリハーサルやリサイタル以外にも控えていた演奏会の為にピアニストとの合わせ等、とにかく忙しかったです。
オケとの協奏曲のリハもしながら、別の曲でオケのコンサートミストレスも務めたので勉強しなければいけない事が多かったですが充実した音楽祭でした。
音楽院の演奏会
留学が始まってすぐにトリノの郊外で行われたコンクールに優勝し、その優勝者演奏会で演奏したしたくらいで、しばらくは演奏する機会はありませんでした。
冬に音楽院の演奏会で演奏するという事で、少し前にオーケストラスタディの授業で先生から学校内の演奏会なら学校の楽器を借りれる事を知り、その時の演奏会は学校の楽器で演奏しました。
トリノ音楽院はストラディバリ、その他にもカルロ・ガダニーニやロッカ等貴重な楽器を数多く所有しています。
私が楽器を借りた時は生憎ストラディバリの楽器を保管しているショウケースの鍵が壊れて取り出せないという事でロッカの楽器を借りる事となりましたが暖かい音のする素敵な楽器でした。
学校の1階(日本で言う2階)にギャラリーとして楽器が並んでいて、ヴァイオリンのみでなく、管楽器やハープ、その他中世やバロックの時代に使われた楽器等個性的な楽器を見る事が出来ます。
受付で一言ギャラリーの楽器を見たいと言えば無料で閲覧出来るのでトリノに来る際は訪れてみてもいいかもしれません。
トリノ王立劇場アカデミーで室内楽
トリノ王立劇場(テアトロ・レージョ)が始めたアカデミー、obiettivo orchestraの一期生 の一人だったのですが、この年は室内楽の演奏会を一つ企画されていました。
アカデミーについては他の記事にも書いているので良ければご参照ください。
この時、偶然にもトリノ王立劇場のオペラ公演で席が隣のご婦人がこの演奏会に来ていて、その後もクリスマスパーティーや食事に招待されたりと交流が続いています。
留学一年目は時間があったのでトリノ王立劇場やRAIの公演の定期会員になっていました。
トリノ王立劇場の公演で私はいつも同じ指定の席に座っており、そのご婦人も会員で隣の席だった事から仲良くなりました。
この時のアカデミーの演奏会は劇場の友の会のメンバーを中心に招待された演奏会であり、知り合ったご婦人は友の会の会員だったという事です。
後から知った事ですが、このご婦人は弁護士ですごい方らしく、劇場の古くからの常連さんなのだそうです。
骨折後の演奏会
毎年色々と事件やハプニングが起こるのですが、特に1年目はとんでもない失態を犯してしまいました。
2017年の2月、雨上がりの日の朝、自転車に乗っていて石畳が濡れて滑りやすかったの所で見事にカーブで私は滑り、その時に左手が自転車の下敷きになってしまいその時に左手の甲を骨折しました。
その日はトリノ響の演奏会もあり、本番だけでもなんとか演奏しました。
骨折しているのに何故演奏会に出ると思うかもしれません。
というのも、その日は朝から授業があり、病院に行く暇がなく、自分では打ち身や突き指の様なものだと思っていたのでここまで深刻な怪我だとは思っていませんでした。
翌日の朝に病院に行って骨折と診断され、1か月半はギプスをはめる事となり、2月3月の演奏会やレッスン等は全てキャンセルとなりました。
骨折後は筋肉が収縮しているので指が動かなくなるので、それを防ぐ為にギプスをしている期間も使える指は出来る範囲で動かすことを推奨されてヴァイオリンを使える指で練習していました。
1か月半後にはプロコフィエフのソナタやショスタコーヴィチの協奏曲を練習していたので、指の筋肉の衰えは少しは防げたと思います。
下の動画は骨折した時に自分の練習用に書いた曲を室内楽の先生の前で披露した動画です。
この骨折した時に室内楽の先生から言われた言葉に大変助けられました。
また他の記事でこの話は詳細に書けたらと思います。
前置きは大変長くなりましたが、5月6月には試験や演奏会があったのでそれに間に合わせる事がギプスを外した後の最初の目標でした。
ギプスを完全に外したのが4月最初くらいで、そこから試験でモーツァルト、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、学内演奏会でイザイの無伴奏ソナタとパガニーニのカプリスを2か月足らずで準備する必要があったので授業や用事がない時以外はとにかく練習をしました。
無事試験も満点で演奏会も終ることが出来、逆に骨折した事で夏以降も練習を頑張る事が出来たと思います。
最後に
この後の夏休みは人生で一番練習した夏休みになったと思うくらい沢山練習しました。
おかげで夏休み明けのコンクールではその成果が表れたのかなと思うと最終的にはモチベーションを上げた意味では骨折は良い経験だったと思います。
1年目は演奏会の数は多くなかったけれどそれでも先程紹介した演奏会他に演奏会に聴きに行きまくったりオーケストラの公演に出たり、それなりに音楽に触れる時間は多かったです。
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