FACCIAMO LA MUSICA

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読譜能力と演奏能力

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音楽をするのに少なくともクラシックの世界だと楽譜を読める事が大前提です。

また、音楽に関する知識や決まり事を知る事は演奏にも役に立つといいます。

 

ソルフェージュ音楽理論が出来る事と演奏能力の関係はどうなのでしょうか。

 

 

 

 

読譜

何を以てして読譜力なのかこれも人それぞれ基準があるかと思います。

 

五線譜の上にある音符のリズムと音の高低を理解する事を読譜出来たという人が結構数いると思いますが、私はこれで楽譜が読めたとは思いません。

 

藝大の時にソルフェージュの授業で先生が、演奏家に最も必要なソルフェージュとは、複雑な聴音が出来る事でも難解なリズムが即座にわかる事でもなくて、楽譜に書いてある情報をどれだけ読む事が出来るかだと言っていました。

 

この先生のソルフェージュでは、まず楽譜を渡されたと同時にまず楽譜についてどの様な情報があるかを皆で言い合います。

 

それは例えば、最初は〇分の〇拍子、速度記号、調性、強弱、その他に表現に関する指示がどこにあるか等当然の事と言えば当然見るべき情報ですが、どうしても一番最初に譜読みする時は音の高低やリズムに気を取られてしまいそれらを見落としがちです。

 

 

ある本で読んだ言葉にこんな面白い事が書かれていました。

 

音楽は一つの言語で、作曲者が楽譜を書く事は自分の言語を翻訳をしている事と同じである。

翻訳の上で完全に元の言語と全く同じ表現をする事が不可能なのと同じように、書かれた楽譜は必ずしも作曲者の言葉全てを書ききれているとは限らない

 

だからこそ演奏者や聴く人によって様々な解釈があり、曲一つにしても人によって異なる表現の余地があるのだと思います。

 

 

楽譜に書いていない情報

読譜力とは、楽譜に書いてある情報を読む力を読譜力と言いますが、時には詳細に書かれていないために自分で楽譜にある情報から推測していく力も言うのではないかとも思います。

 

例えば音楽のフレーズがどこで始まって終わっているか、強弱がなくとも音の高低や和声、リズムから予測し、どの音がより重要かを考える力など中には明確な情報となり得ない事も自分で推測する事読譜力と考えられるかもしれません。

 

その情報を読み取る為に、時には和声分析や作曲法、音楽理論等の知識が必要となる時が多々あります。

 

そうなるとやはり総合的に音楽の知識は重要となってくると思います。

 

とはいえ演奏者は使う楽器の特徴や特性を音楽の中で生かす為に音楽理論から外れた表現をする事もありますし、それがむしろ音楽を面白くすることもあります。

 

全てを踏まえたうえで曲の魅力を最大限に引き出せることが読譜力の最終地点なのかもしれません。

 

 

和声と楽式のアナリーゼ

和声と楽式のアナリーゼ

  • 作者:島岡 譲
  • 発売日: 1964/09/15
  • メディア: 単行本
 

 

楽譜が読めない事=演奏能力が低い?

よく、譜読みが遅いとか楽譜を読むのが苦手という話を聞きます。

 

私のレッスンしている生徒さんでも楽譜を読むのが得意ではないという生徒さんも中にはいますし、私も楽譜を読むのは昔から遅いタイプだったのでそいう方たちの気持ちはわかると思います。

 

 

私は小さい頃習っていた先生に楽譜が読めないので弾かせる曲がないと言われたことがありました。

 

この話には少し裏があるのですが、その当時(6歳くらい)楽譜が全く読めない訳ではなく、読むのに時間が掛かっていたのが実際の所です。

 

頭の良い子や器用な子なら6歳でもカイザーを初見で弾けるものなのかもしれませんが、先生に練習していないカイザーの一曲を弾くように言われた私は全然弾けずに楽譜が読めない子だと烙印を押された挙句に演奏もさせれないと言われた訳です。

 

 

ただ、楽譜が読む事の重要性を考えた時、楽譜が読めないから演奏できないという事は果たして同じ問題なのかと疑問に思います。

 

例えばクラシック以外の世界では楽譜を必要としない演奏家も数多くいます。

 

クラシックの世界にも盲目の演奏家は普通の楽譜を読む事はありません。(点字楽譜が存在するので楽譜を読む事は同じく必要かもしれませんが)

 

だからと言って彼らの演奏能力が低い訳でもなく、楽譜が読めずとも非常に優れた演奏家が存在します。

 

楽譜が読めずとも、耳や身体で覚え、その音楽を理解、解釈していればそれは立派な音楽となりうるし、しっかり読譜している人と何ら変わりはないと思います。

 

 

子供の読譜

特に子供や初心者で楽譜を読む事に慣れていない生徒さんに楽譜を正しく読む事を厳しく指導する先生も数多くいると思います。

 

実際私の小さい頃習っていた先生もそういうタイプでした。

 

 

楽譜を読む事が重要ではないと言いたいわけではないのですが、子供のうちは耳で聴いて覚えさせる事も決して悪い指導法ではないと思っています。

 

楽譜を読む勉強は大きくなってからでも訓練すれば出来るようになりますが、絶対音感や良い音楽家の耳を育てるのは若いうちの方がずっと有利です。

 

そういった意味で特にお子さんの場合は楽譜を読む事に囚われ過ぎない方がいいと私個人的には思います。

 

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音楽を理解、解釈する

音楽は考え方を変えるだけで様々な演奏の仕方が出来、解釈を変えるだけで同じ曲を弾いても全く違う曲に聴こえてきます。

 

この解釈の違いが個性でありその人の演奏スタイルにもなり得ます。

 

とくにクラシックはこの違いを楽しむ為に、同じ曲を違う演奏家で聴いてみる事をするファンの方も多くいます。

 

 

イタリアで習っている先生にはレッスンでよく言われる事があります。

 

曲は音の羅列ではない。そこに何かしら意味や物語がなければ音楽の本質を失っている事と同じである。 

という話です。

 

以前も記事を書きましたが、演奏家は楽器を弾きこなす作業に非常に多くの時間を費やす為、技術的な問題を解決する事に重きを置きがちです。

 

violinoarco.hatenablog.com

 

演奏技術が発展途上の生徒さんに技術の改善の為に指導する事は先生のすべき事も最大項目ですが、どんな簡単な曲だったとしても和声や調性、音楽の流れやフレーズを初歩の段階から教えて考える習慣をつけさせる事も重要だと思っています。

 

音楽理論は音高や音大、ソルフェージュの教室だけで学ぶものではなく、楽器を演奏しながら理解していく方がずっと役に立ちます。

 

 

例えば自分の今練習している曲の和声を分析したり楽曲の構成や調性等を考える事も音楽理論の勉強になります。

 

そこから音楽の流れやどこにクライマックスが来るのか、音の発音や処理の仕方、様々な事が考えられます。

 

ここまで考えられるには知識や経験が必要になっては来ると思いますが、常に考える習慣を付けるだけでも演奏にいい影響を与えてくれると思います。

 

 

和声―理論と実習 (1)

和声―理論と実習 (1)

  • 作者:島岡 譲
  • 発売日: 1964/03/01
  • メディア: 単行本
 

 

最後に

楽譜には音の高さやリズム以外にも読み方次第で沢山の情報を読む事が出来ます。

 

読譜力やソルフェージュ能力というのは演奏と関わり合う事で初めてその能力が発揮するのではないかと思います。

 

楽譜を読まなければいけないと言いながら楽譜に囚われる必要はないという矛盾を書きましたが、年齢や読譜能力に合わせてバランスを取っていく必要があるのでこのあたりを上手く指導できる先生に出会えると一番理想的ではあるでしょう。

 

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