FACCIAMO LA MUSICA

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上達が早い子の話

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早く上達したいと誰しもが思いますが、ヴァイオリンは個人差はあるものの上達に時間の掛かる楽器です。

 

今回は主にお子さんの上達速度の話をしていこうと思います。

 

 

 

 

スタートはゆっくり

 ヴァイオリンは小さいうちに始めるのが吉としています。

 

そのメリットはやはり子供は体が柔らかい事、演奏を体で覚えるので変に頭でっかちにならないという点があると思います。

 

 

あくまでこれは私のこれまでの生徒さんを見てきて思った事ですが、スタートしてすぐは大人の方の方が上達が早いです。

 

大人の方は弾く方法を頭で理解して体の使い方を考えるので始めてすぐは同じ時間練習していたとしても大人の方が上達が早いように感じます。

 

一方でお子さんは、ある程度基礎を学んで感覚を覚えていくと次第に上達の速度が加速していきます。

 

どうしても最初は基礎を覚えなければいけないのでお子さんの場合は特に練習が退屈だと感じてしまう事もなかなか進まない原因の一つだと思います。

 

 

しかし、基礎をある程度身につけてしまえばどんどん新しい曲を弾く事が出来るのでそこでお子さんのやる気が上がるという事もあります。

 

 

上達の速かった生徒さん

過去に教えていた生徒さんで非常に上達の速かった生徒さんがいました。

 

その生徒さんはヴァイオリンを7歳で始めたので、5歳までに始めると良いとされる年齢を考えれば遅い方になります。

 

その生徒さんを始めてから最初の2年程見ていましたが、1年目でリーディングのヴァイオリン協奏曲(鈴木メソード3巻終わりくらいまで)、2年目でヴィヴァルディやベリオの協奏曲(鈴木メソード5,6巻くらいまで)程度のレベルまで一気に進みました。

 

 

現在も勿論ヴァイオリンを続けており、コンクールにもどんどん挑戦しているというので本当に将来が楽しみな子です。

 

 

当時その生徒さんを教えていた教室では春に発表会、秋にコンテスト形式の発表会がありました。

 

夏前にヴァイオリンを始めたその子にとって一番最初の舞台だった一年目の秋のコンテスト形式の発表会では順位としては一番下の賞だったのですが、1年後(二年目)にはずっと前から習っている生徒さんたちを抑えて一位に輝きました。

 

 

好きな気持ちと先生との関係

その生徒さんは練習を嫌いだと思った事がないと言っており、その子のお母さんからも時間があればずっと弾いていると聞いていたのでこれで上達しないはずがありません。

 

その当時の生徒さんは勿論皆さん良い生徒さんで良好な関係であったと思うのですが、中でもその子は誰よりも先生である私の事をとても慕ってくれていて良い信頼関係が築けていたのではないかと思います。

 

 

私自身にもあった経験ですが、先生の事を本当に慕っている時は自分のやる気にも繋がります。

 

先生を本当に慕っていると、これだけ一生懸命教えてくれているからその大好きな先生の為にも頑張って練習して期待に応えたいという気持ちになります。

 

 

以前の記事にも良い先生に出会う事が上達の近道だと書きましたが良い人間関係は良い音楽を育んでくれます。

 

violinoarco.hatenablog.com

 

 

 

褒めて伸ばす

子供を躾ける時に、もし失敗や欠点を注意する時はまず出来た事を認めてから注意する方が、その子が改善しようという気持ちになると聞いたことがあります。

 

私もレッスンで最初に弾いた後はまず良かった部分、前回のレッスンより改善した部分を評価してから注意すべき点を指摘するようにしています。

 

 

また、レッスンの時に生徒さんに弾いてもらう時に「聴かせてくれるかな?」、弾いて貰った後に「ありがとう」と言うようにしています。

 

これは、イタリア語でもそうですし英語圏でも先生がよくレッスンで生徒に使う言葉で素敵だなと思ったので日本語のレッスンでも使うようにしています。

 

 

レッスンの時は先生である限り教える訳で、立場としては先生側の方がヴァイオリンに関しては経験や知識が多いです。

 

だからと言って先生の方が立場が上だとか、偉いという訳でもなく、先生は生徒を一人の音楽家として尊重する事が必要かなと思っています。

 

 

もし生徒を一人の音楽家として見ているなら、楽家が私に演奏を聴かせてくれたと感謝の気持ちを表す事が普通でしょう。

 

なのでレッスンで弾いてくれたら「ありがとう」を言うし、良かった所は評価していきます。

 

 

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練習しない場合

中にはあまり練習してこない生徒さんもいたりします。

 

大人の方なら仕事等で時間がなく、レッスンで練習してとりあえずヴァイオリンを続けているという方もいらっしゃいますしこの件に関してはそれで充分良いと思います。

 

とはいえ私の講師としての経験の中でレッスンに通われている大人の方は非常に向上心が強く、皆さん限られた時間で頑張って練習しているので、練習していない事を指摘した事はありません。

 

 

一方でお子さんの方が練習してくる子としてこない子の差が非常に激しいです。

 

お子さんのお稽古というのは上達は勿論ですが、教わった事を自分で復習する、覚えるというある種の躾にも関わっていると思っています。

 

ヴァイオリンが弾ける、弾けないの問題ではなく先生との約束を守る守らないの問題です。

 

なので、やはり練習しない子には練習しなければいけない事を指摘しなければいけません。

 

 

練習してこない事に関して、「練習はきっと面倒だとかやりたくない気持ちがあるかもしれないけれど、もしその少し面倒な事を乗り越えたらもっと上手になってヴァイオリンを弾くのが楽しくなるよ」と言うようにしています。

 

他には「○○ちゃん(君)はとっても良い音楽のセンス持ってるから、練習しないのは勿体ないよ、先生ちょっと悲しいかな…。レッスンでも先生が言った事すぐ出来たから毎日少し練習しただけですごく上手になると思うよ。」という感じに話します。

 

練習させるポイントとして、例えば毎日おやつを食べた後とか、ご飯を食べる前にというように毎日ある習慣の行動と関連付ける様に練習する事を勧めています。

 

 

練習しても出来なかった事と練習しない事は出来ないの種類でも天と地ほどの差があります。

 

練習しても出来なければ、出来ない原因の追究もしやすいのですが、練習しなければどんなにいいアドバイスをしても上達しません。

 

練習しない子に対しては毎日3分や5分でも出来る練習からアドバイスし、目標として毎日練習する事を言います。

 

毎日の練習を録音、録画させるというのも非常に大きな手だと思いますが、すべての生徒の記録を確認すると時間がなくなるので現実的ではありません。

 

 

お子さんの場合はやはりご両親が練習するよう促す事が練習しない問題を解決してくれる事だと思うので、まずは親御さんに協力してくてもらうよう話す必要があります。

 

叱る、注意する

レッスンは躾や社会教育の一つでもあると言いました。

 

教育をする限り叱るという事はあって当然の事かもしれませんが、私は叱ったり怒ったりした事はありません。

 

ましてや真面目に練習してきた子を上手く弾けない部分があったからと言って叱る事は言語道断だと思います。

 

 

厳しいと怒るは似て非なるものです。

 

最もレッスンで怒ると生徒が委縮するので、むしろどんどん間違ってもいいからとにかく挑戦してみようと安心してレッスンが受ける様になってくれる様に指導する方が私としては理想的です。

 

語学学習の指導者の話でこのような事を聞いたことがあります。

日本だと間違える事が恥だと思う傾向があるけれど、話せるようになるには間違っていても使おうと発言を繰り返す事、沢山失敗し恥ずかしい間違いをしても発言を続けた人が一番上達する

 

 

ヴァイオリンも同じでレッスンで間違える事を恥ずかしがらずに弾く事は学習の上で重要だと思います。

 

出来ないから投げ出すのではなく、出来ないから出来るまで練習を繰り返す人がヴァイオリンでも上達します。

 

なのでレッスンではどんどん間違えたり失敗して、それらを解決する為に講師がアドバイスして一緒に勉強していく場だと思って貰えたらいいかなと思います。

 

 

練習しない事が続くと

練習をしなかったとしても練習するように指摘や注意はしますがヴァイオリンのレッスンは義務教育ではないので、もし何度も繰り返しても改善する意思が見られなければ冷たい言い方にはなりますが、それまでと思っています。

 

 

これまで習った先生でも練習しない子に怒る先生は結構な割合でいましたし、それが先生の愛だと思います。

 

ただ、状況によっては練習しない子に怒る先生でも練習しない子を怒らなくなる時があります。

 

その時がもう伸びる見込みがないと先生に諦められた時です。

 

よく、怒られる時が華だと言いますが、怒らないにせよレッスンを受けているのに指摘されなくなるのは結構精神的に辛いと思うので楽しくレッスンするためにも練習は大切だと思います。

 

 

最後に

上達が早い子は音楽が好き、ヴァイオリンが好きな子達です。

 

そしてヴァイオリンを弾く事が楽しいと思えるならそれこそが演奏家の才能なのではないかと思います。

 

 

どの様なジャンルであれ教えるという事は教育であり、人格形成にも関わってくる事と思います。

 

習い事で先生といい関係を築けている事で心の支えになる事もあります。

私は学校の話や人間関係の悩み、相談を大学に上がるまでは特にピアノの先生に相談していました。

 

その他にも勿論ヴァイオリンの先生や室内楽の先生とも私の人生において悩むことを話してアドバイスしてくれたりしていたので、そういったヴァイオリンの上達と関係ないように見えて実はメンタルの部分で「この先生には助けられたから、期待されているから恩を返す意味でも上達して期待に応えたい」と思う訳です。

 

なのでやる気を与えてくれる先生との関係は大切です。

 

教える側の今、私と良い信頼関係を築いてくれた先生との関係の様に生徒さんと尊重し合えるいい関係を築けたらと思っています。

 

 

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