怪我をしてヴァイオリンが弾けなくなった時どうする?
思わぬ事故で骨折、突き指、打撲等もしくは腱鞘炎でしばらくヴァイオリンが弾けなくなってしまった、なんてことはどんなに注意して生活していても起こりうることです。
ピアノだと片手の為の作品が存在しますがヴァイオリンは右手と左手で異なる役割を果たしているので片方が使えなければ曲を弾く事はほぼ不可能となってしまいます。
私自身手の骨折をしたこともあるのでその経験も踏まえて、怪我で練習出来ない時、どの様に過ごすかのヒントを提案したいと思います。
運動と手の怪我
怪我の種類、場所、程度により様々ですが、楽器を弾く人は手、指、腕の怪我は気を付けなければいけません。
だからと言って日常生活で手を使わない事は不可能です。
プロの演奏家の中でもスポーツをやっている人は結構います。
国際コンクールでも入賞経験が多く活躍している先輩ヴァイオリニストが野球をずっとやっていたり、ヴィオラの友人がバレーボールをしていたりと、怪我を考えると心配なスポーツをしていますが、それでも怪我が多く弾けなくなる様な無茶をしている訳ではありません。
楽器を弾く人は指が大切だから体育の授業で球技がある時は参加しない方が良いという意見は何度か聞いた事がありますが、果たしてそれで指の怪我を防ぐことが出来るのでしょうか。
それこそ楽器をやっていて指の怪我が致命傷になる生徒の集まりの私がかつて通っていた音楽高校では球技を積極的にやっていました。
高校の体育の先生はずっと音楽科のクラスの体育を見てきた先生で、その先生曰く
「見学していてボールが飛んで来た時に手にぶつかって突き指した生徒がいるので、結局のところ球技をしなかろうが事故は起こる時は起こる。
寧ろボールを扱う事に慣れていない、体を動かす事に慣れていないと不器用になるし怪我や事故を起こしやすくなるので球技を通して体を使う事を覚えなさい。」とのことです。
高校は音楽科と先程書きましたが、音楽科のクラスの割に球技大会は一生懸命やっていた上に普通科に勝って優勝までしました。
音楽科のクラスの中でも演奏が上手な子は結構運動も出来る子が多かったです。
私は球技はそこまで得意ではありませんでしたが、中学高校と長距離が得意でクラス一番を取ったりしていました。
現在もエアロビクスや山に登ったりする事が主な私の好きな運動なので、こう書くと球技に関する説得力に欠けてしまいますが…。
音楽家は料理をしない?
ピアニストやヴァイオリニスト、その他の殆どの器楽が指を使うのでその繊細な指が傷ついてはいけない。
なので料理はしない、という人もいる一方でとても料理上手な演奏家もいます。
今の時期は家にいる時間も多いのでオーケストラの仲間がピザを生地から作ったりフルーツタルトを焼いたりしている写真をSNSで見かけたりします。
流石料理がおいしい国、イタリアらしいですね。
私は18歳から1人暮らしなので自炊はずっとしてきましたが、包丁を折った事はあれどヴァイオリンが弾けなくなるような手のけがを料理ではした事ありません。
中には受験前に料理で怪我をして暫く弾けなくなったという話もあるので(結局その子は問題なく受験に合格しました)勿論気を付ける必要はありますが、あまり神経質になりすぎて自炊できない人になるのも考えものです。
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過去に起こした不慮の怪我
私がこれまでに起こしたヴァイオリンに関わる怪我は骨折と突き指です。
突き指に関しては親指や右手で、演奏が出来なくなる様な部分に突き指をしたことがないので突き指で弾けなくなった事はありません。
私の友達や先輩にも受験前やコンクール前に怪我をした話を聞いています。
それでもしっかり結果を残している人の例を多く聞いているので、もし怪我をした時はまず焦らずに怪我した部分を休ませて治療に専念する事が大切だと思います。
実際私も左手を骨折をして1か月半弾けなかった時期がありました。
骨折の仕方が螺旋骨折だったので時間が掛かるとは言われましたがそれでも小さい部分だったのでギプスが完全に外れるまで2か月で済みました。
勿論骨折した事がわかってすぐはショックで、演奏会の中止もせざるを得ず焦る気持ちもありました。
しかし、弾いても良いとお医者さんに許可が出てからは遅れを取り戻さなければいけないと思い、復帰後はより練習する気になれたし、結局半年後くらいには骨折する前に出来なかったテクニックが出来る様になったりと変われたので良い経験だったと思っています。
世の中にはもっと重い病気や怪我にかかってこれまでに演奏出来ていた事が出来なくなり演奏自体を断念しなければならなくなる人もいるので、それを思うと私は幸福な方だと思います。
ただ、怪我して弾けなかった時に、室内楽の先生から
「もしヴァイオリンを弾けなくても君の知識や経験は消えないし、他の形でも表現する事は出来るから君が本質的に音楽家である証明を弾けない時間に作るんだよ」
とアドバイスを貰い、違う形で音楽と向き合える時間になりました。
最後に
怪我は運動をしていようがしてまいが、料理をしていようがしてまいが、他にも日常生活を行う上で思いがけなく私たちの身の上に降りかかってきます。
特に若いうちに怪我を恐れて運動をしないと年を取ってから怪我しやすくなるとも言われるので、長い人生を考えるとある程度積極的に楽器の演奏以外でも指を使うべきと思います。
それでも怪我が起こった場合は、まず病院でお医者さんの指示に従い、回復に合わせて復帰を目指す事が大切です。
楽器を弾いて練習するだけが練習とは言い切れないので、楽器を弾かなくても出来る音楽の勉強を弾けない時にするとまた弾けるようになった時に新しい発見が出来ると思います。