FACCIAMO LA MUSICA

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テクニックに合わせた基礎練習②

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前回の記事でセヴシックの基礎練習をいくつかご紹介しました。

 

引き続き基礎練習についてのお話をしていきたいと思います。

 

 

 

 

 

音階

ここではいくつかの音階の教本についてご紹介していきます。

 

教本によって音階の難易度も異なるので段階的に音階の種類を変えたり増やしたりしていくと良いでしょう。

 

また、音階の特化した本でなくても鈴木メソード新しいバイオリン教本の様に音階が曲の合間に入っていたりするので音階に特化したもので音階をやる必要は必ずしもある訳ではありませんが、曲が中心の教本だと書かれている音階の調に偏りがあったりするのでやはり音階は音階専用の教本を使った方が良いかなと思います。

 

フリマリー

フリマリーの音階教本を使う人を日本であまり見かけたことがありませんし、私も実際に殆ど使った事がありません。

 

 

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トリノの音楽院の先生にフリマリーの上の楽譜の音階練習をすると良いと言われて練習したくらいです。

 

フリマリーは最初の方の音階はヴァイオリンを始めて間もない初心者の方でも練習出来るものになっています。

 

音階の中でリズムや弓の使い方を変えて練習させる様に調ごとにリズムやテンポ、拍子等が異なるように書かれています。

 

このフリマリーの音階の特徴として、単音のみの音階で、重音の音階が全くありません。

 

高いポジションの音階もあるので、難易度としては上級の方も使えますが、重音の音階がないという点では、他の重音音階のある教本に全てが書いてあることを考えるとわざわざフリマリーを使う必要性がないかなという感じです。

 

 

なので初級、中級の最初くらいまでは特にフリマリーは使える教本だと思います。

 

 

 

 

小野アンナ

日本のヴァイオリン学習者の多くは音階練習として小野アンナのヴァイオリン音階教本を使っていると思います。

 

ヴァイオリン音階教本 <小野アンナ>

ヴァイオリン音階教本 <小野アンナ>

 

 

大手の音楽教室のグレードテストでもこの音階教本を課題に出していますし、音楽高校の入試にもよく使われるので、音階と言えば小野アンナのヴァイオリン音階教本は外せません。

 

私の通っていた音楽高校も入試は小野アンナの教本の音階を課題に出していたと思います。

 

 

この教本は中級くらいまでは先程紹介したフリマリーと同じような内容です。

 

ただ、フリマリーとは違い、調ごとに異なるリズムやテンポ、拍子が異なるような書き方をしていません。

 

全調同じ書き方の非常にシンプルな楽譜で、まさに音階に特化している譜面といえます。

 

 

それに加え、小野アンナの本には重音の音階があります。

 

3度、6度、8度、フィンガードオクターブ、10度の重音音階があります。

 

後程紹介するカールフレッシュ程長くなく複雑でないので、重音音階の最初の練習としてこの音階教本を使って練習する人も多いです。

 

 

カール・フレッシュ

カール・フレッシュの音階教本は世界中で最も使われ、難易度の高い音階練習の本と言えるでしょう。

 

 

音階のみの本ですが非常に分厚く、私が初めてこの教本を最初に始めたのは小学5年生でしたが、この真っ黒の音階をどうやって弾くのか見当もつきませんでした。

 

カールフレッシュの音階は以前の記事でも紹介していますのでご参照ください。

 

violinoarco.hatenablog.com

 

普通調に合わせた1音ずつ上がる音階にくわえ、複雑なアルペジオ、3度進行の音階、半音階と様々な音階のバリエーションがあり、それをG、D、A、E線それぞれの弦だけを使った音階練習、単音で4弦を広範囲の音域の音階、3度、6度、8度、フィンガードオクターブ、10度、ハーモニックと一つの調だけでも非常に多くの練習があります。

 


カール・フレッシュ 音階 No.1~7 単音音階、3度、6度の音階 Carl Flesh Scale No.1~7

 

この動画では6度までの動画ですが、私は普段の練習で毎日このカールフレッシュの一つの調を決めて一通り練習するようにしています。

 

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上の画像のページにはハ長調の広範囲の単音の音階、3度、6度(途中まで)の音階が描かれています。

 

これを全調弾けるようになったのにかなり時間が掛かりましたが、この音階を丁寧に練習すると曲を弾く特にも大分楽に弾けるようになります。

 

 

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セヴシック

セヴシックは他の記事でも何度か取り上げました。

 

他の記事でも書いた通りセヴシックはとにかく沢山のテクニックの練習を書いているので音階も漏れなく入っています。

 

violinoarco.hatenablog.com

 

 

ただ、セヴシックはこれまで紹介した教本とは違って音階に特化した教本ではないので使い方が少し異なります。

 

例えばセヴシックのOp1-1にはファーストポジションで出来るテクニックを網羅するように書かれているのでファーストポジションで出来る音階のみが書かれています。

 


セヴシック No.13 Sevcik No.13

 

例えばこの動画で弾いているのはOp1-1のNo.13にある3度進行の音階で、それをファーストポジションで全て出来る様に書かれています。

 

他にも6度進行、8度進行、半音階等様々なバリエーションがあり、1つの調につき1~4小節で書かれているので長くありません。

 

なので全調の音階練習が他の教本だと長すぎて大変なら、または全調を覚える・網羅する為にセヴシックを用いると良いかなと思います。

 

 

 

フラジオ、4度、5度、左手のピチカートを含む音階等、これまで紹介した音階教本では見られない音階もセヴシックにはあります。

 

フラジオ、左手のピチカートの音階はOp1-4のNo.20以降に書かれています。

 

 

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Op1-4のNo.20の最初の2段です。

 

楽譜に書かれている通り、弓で弾きながら左手でピチカートをする練習です。

 

指の体操もさながら、まるでだまし絵を見ているような感じで初めて練習する時はどの指がどこにいるかわからなくなって脳がこんがらがります。

 

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これはOp1-4のNo.21ですが、この後のNo.22はアルペジオ、No.23はフラジオの重音音階となっています。

 

 

 他の重音音階や練習は取り上げたOp1-4にも見られますが、難しいものもあります。

 

セヴシックのOp9は少し難易度がそれよりかは優しいのでカールフレッシュ等のより複雑な音階を始める前にセヴシックのOp9で重音に慣れると弾きやすくなると思います。

 

 

 

 

最後に

今回は主に音階を取り上げました。

 

どの音階にしても最も効果的に練習する方法を理解して練習する必要があります。

 

ただ書かれている音を弾いて音階を終わらせては練習の意味としては微妙です。

 

最も、レッスンで先生から練習の仕方を指導して貰って正しい情報を元に練習をする事がこれらの音階の最善の使い方になります。

 

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