FACCIAMO LA MUSICA

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音の発音、出し方の話

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大学受験の際、先生に最も厳しく言われた事は音の発音についてでした。

 

まず音の発音、出し方のコントロールが出来ないと音階が綺麗に聴こえないという最も最初の段階で減点になるからでした。

 

少しコンクールや試験向きの話の様な感じになりますが、今回は音の発音について話をしていきます。

 

 

 

 

 

 

 

シンプルな曲程誤魔化せない

最初に藝大の入試時に音の発音を厳しく言われたと書きました。

 

同じ曲を弾いても上手に聴こえる音とあまり上手じゃなく聴こえる音は音程や表現、様々な要素は勿論ありますが、特に重要な要素の一つが、音の出し方です。

 

 

特にモーツァルトやバッハ等のテクニック的にシンプルな曲はこの音の発音が非常に重要になり、誤魔化しがききません。

 

時々、ロマン派などのより複雑な曲を弾きこなしている人でもバッハやモーツァルトになると途端に、あれ、こんな音だった?という様な音で弾いている人もいます。

 

 

メロディーがシンプルになる程、綺麗に演奏するためには最も音の発音が必要になります。

 

無意識のうちに弓のスピードや圧力が変わったりしてしまうと、音がだらしなく聴こえたり不自然に聴こえてしまう事が、こうしたシンプルな曲になる程目立ってしまいます。

 

 

 

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番、第5番《トルコ風》

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音の出る瞬間

発音を良くするためには弓のコントロールが第一です。

 

音の出始めでどの様に発音するかでまず最初の音の印象が決まります。

 

演奏する場面に合わせて程度は異なりますが、発音、つまり音の出始めで弓と弦が引っかかっている状態が起こる必要があります。

 

ただ、この時に気を付けるのが、発音の為に引っかかるだけであって決して弓を押さえつけたりアクセントをする事とは違うという事です。

 

 

この発音で必要な弦と弓の引っかかりは、強い力を必要とせず、フォルテで弾く発音、ピアノで弾く発音も音量や引っ掛かりの程度は違えどほぼ必ず起こっており、この引っ掛かりの種類を適材適所使いこなすと所謂上手な演奏に近づく訳です。

 

このコントロールの為には左手の手首と指先を自由に使えると出来る様になります。

 

 

私は高校の時に特にこの発音について先生に言われ続け、コンクールや試験の直前のレッスンでさえ最初の一音にこだわって何度も見て貰っていました。

 

 

演奏の印象は最初で決まる

先程の話でも、音の出方でその人の演奏の印象が決まると書きました。

 

桐朋の入試は一人につき3分程度しか演奏の持ち時間がないという話を聞いた事がありますし、オーケストラのオーディションなんてもっと短い事も普通にあります。

 

 

コンクールでも審査員は最初の音の印象で演奏者を評価し、後はよっぽど大事故がない限り基本的に評価は大きく変わりません。

 

なので、最初があまり良くなくて途中から良い演奏をした場合、コンクールや試験では不利になる事が大抵です。

 

 

本当に実力のある上手な人は最初から最後まで素敵な音を出せてしまうのでそう慣れる事が理想ですが、学習の段階ではそれが難しい場合がほとんどです。

 

 

曲の構造的に大抵一番最初の出だしが一番テクニック的に難しいという事はないので、最初よりもその後の中間部に出てくる難しいパッセージを沢山練習したくなる気持ちはわかりますが、最初の印象が悪いとその一生懸命練習した難しい中間部の印象も悪くなってしまいます。

 

最も音の発音をきちんとコントロール出来ていると、どの曲を弾いても良い音で弾けるようになるの、で何となく誤魔化して弾かずに音の出し方をしっかり練習する事が良い音への近道だと思います。

 

 

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弓のコントロール

では、音の出る瞬間の後、どうしたらいいのでしょうか?

 

音が出る瞬間から終わりまで常に弓はコントロールされる必要があります。

 

特に長い音を弾く時、弓のコントロールが甘いと意図せずに音が膨らんだりヨレてしまいます。

 

 

音の出る瞬間と、その後に弓がコントロールされているかで音の印象は随分変わります。

 

一弓を30秒くらいかけてロングトーンをするとわかると思いますが、これだけ長い音を同じ音の強さで同じ弓のスピードで弾く事は簡単そうに見えて意外と音大生レベルでも出来ない人はいます。

 

実際私も大学を卒業してからロングトーンの弓のコントロールを1年くらいかけて勉強したので、先生に指摘された時はこんなことも出来なかったのかとショックでした。

 

 

逆に物凄く速い弓の練習もすると最も遅い弓から速い弓まで練習する事になります。

 

この速い弓と遅い弓の振れ幅が大きいと表現の幅も広がりますし、この二つの異なる速度を練習する中で次第に弓のスピードのコントロールも身についていくと思います。

 

 

最後に

音の発音からその後の弾き終わりまでの弓のスピードのコントロールは、音の数が少ない、複雑なテクニックがない部分だと目立ちやすくなります。

 

あくまでシンプルなパッセージが目立つだけで、複雑な部分は誤魔化していいと言っている訳ではありません。

 

まずは音階等の基礎練習をしている時にこの音の発音や弓のコントロールを練習し、曲を弾いても自然とそれらを意識出来るまで習慣化出来ると様々な曲に出会っても良い音で弾けるようになるでしょう。

 

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