FACCIAMO LA MUSICA

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(個人的な)イタリアで生活する話

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基本的にこのブログではヴァイオリンと音楽に関わるイタリアの話がほとんどでそれ以外の事はあまり書かないのですが、今回は私事の話をいくつかしていきます。

 

 

 

 

 

 

引っ越しと書類の話

実はコロナで移動制限が出る直前の2月末に引っ越しをしました。

 

ミラノやローマ等の都市を結ぶ列車の始発駅であり、トリノの主要駅の目の前に約3年住んでいたのですが、書類の関係でそこを引き払わざるを得なくなりました。

 

というのも、かつて住んでいたその家は就労の滞在許可証の作成に必要な住居証明の作成に必要な条件が揃っていなかったという理由がありました。

 

 

この住居証明という書類、非常に厄介なもので、家の大きさ、高さ、部屋の数、電気やガスの状態と証明書等とにかく沢山の書類が必要です。

 

書類をどうにかするために家を変えろと建築士に言われた時は信じられない!と思いましたが私の以前住んでいた家ではどうしようも出来なかったので仕方ありません。

 

 

住居証明の条件に合う家を探す

これがとにかく大変でした。

 

色々と賃貸のサイトを見ては業者に連絡をしたりしたのですが、どこも皆口をそろえて「住居証明なんかやったことない」というのです。

 

確かにその通り、めったに作るものではありません。

この住居証明は就労目的や家族ビザで来たヨーロッパ外国籍の外国人等が滞在許可証の申請で必要な書類であって、他の人は普通持つことない書類です。

 

住居証明の話をするとそこで「うちはそんなこと出来ないよ」と門前払いされたり住居証明を手伝えるといわれたにも関わらずそこからガスや電気の証明書等が必要だというと「持っていない」または「新たに業者を呼んで作らないといけないからできない」と断られ続けました。

 

ガスや電気の証明書を大家さんが持っていなくても住居証明さえなければ何の問題もないのですが、考えてみると証明書って大切な書類ではないの?と思います。

 

イタリアの住居事情が日本と違い、築50年や100年なんて普通で、ガスや電気もいつ証明書を作った?という事もよくあることです。

 

とはいえ何か月もかけて家を探し、書類を話しては断られると心が折れました。

 

 

ここで気の強い人は役所や業者に声を大にして「私はこれがないと困るんだ、いい加減な事をしないでくれ。書類が作れないわけないだろう、証明書がないなら作る。証明書を作るのは大家の義務だろう」といったことを言うのでしょう。

 

強気に言ってまかり通る場合が実際にイタリアではあるから声の大きい人が得をする事もあります。

 

 

ただ、それをすると品性を疑われます。

 

そもそも私の性格的に自分の意見を押し通したり喚く事が苦手です。

 

業者や大家さんに無理だと言われたのに何とか意見を押し通して出来たとしても私はいい気分にならないので潔く次を探すようにしました。

 

結局のところこの問題を職場の人に話し、職場の人の親せきが家を持っていて貸せるというので彼らに手伝ってもらいました。

 

 

厳しすぎる書類提出

現在住んでいる家の大家さんである職場の親戚はとても良い方で、本当に素早く動いてくれました。

 

職場の人はこの書類の為に建築士等住居関係の専門家に連絡してくれたり、もし彼がいなければ私は本当にこの書類を諦めていたと思います。

 

それでも1回目の役所へ提出した時は書類が足りずに出直しになり、2回目は受理されたものの、その後にやはり書類が間違っていると言われ提出し直さなければいけない書類がありました。

 

 

それもコロナの関係でオフィスに連絡が取れなかったので時間が掛かりました。

 

結論を言うと無事に住居証明は取ることが出来ました。

 

ただ、この件で今後家を借りたり買う時には家の紹介業者をきちんと見極める必要があると思いました。

 

 

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出来るだけ穏やかでいること

住居証明に限らず、イタリアにいて外国人であるという事で以前も嫌な事は何度も起こっていますが、出来るだけ穏やかでいようと思っています。

 

コロナ以前からアジア人…というより中国人差別が結構強いです。

 

幾度と見知らぬ人に「Cinese(中国人)」とか「ニーハオ」といきなり言われては心の中で「ここはイタリアだろ!挨拶はBuongiornoだしそれっぽい見た目だからって中国人か勝手に決めるな!」と思っています。

 

ここで言いたいのは私が中国人を嫌っているということではありません。

 

少なくとも私の知っている中国人は皆勤勉で優しい友達ばかりで一般の中国人を嫌う理由がありません。

 

 

見た目がアジア人でもイタリア国籍の子だっているし、中国人ですらイタリアでいきなり見知らぬ人に「ニーハオ」はまだしも「Cinese(中国人)」と叫ばれるのはいい気分がしないと言っていました。

 

海外に住んでいる以上差別されたり理不尽を受け入れなければいけない事は覚悟の上で生活していますが、差別される場面に出くわすとストレスに感じます。

 

それでも人に優しく真面目に生きていれば周りの人は外国人であろうと評価してくれます。

 

卑屈にならずに穏やかに人と接していけばきっと海外でも楽しく生きていけると思います。

 

外国人には外国人にしかわからない

色々と書類の事や外国人であるから制約があることや理不尽だと感じる事が海外で生活していれば当然あることです。

 

私は人に恵まれ、力になってくれる友達や仲間が沢山いたおかげでイタリアに居続ける事ができていると思っています。

 

 

こうした苦労はその国に元から生まれ住んでいる人には理解しがたい事だと思います。

私でも、日本に住んでいたら日本で生活する外国籍の人の苦労は理解できなかったと思います。

 

私を助けてくれた友達や職場の人の多くが、本人が外国人だったり、パートナーや身近にいる人が外国人で私と同じように困っていた経験をしてきた人でした。

 

 

逆に私も留学で来て間もない日本人の子の家探しを手伝ったりもしました。

 

私の苦労が人の役に立てる時が来るのかもしれないと思うとこの生活も悪くないと思う訳です。

 

 

最後に

「イタリアって素敵な国ですよね」とか「イタリアで働くなんてかっこいい」とかよく言われますが、よくテレビや雑誌等で見るイタリアの姿はイタリアの美しい部分しか見る事ができません。

 

旅行で訪れるイタリアの姿というのは人が親切で明るく、歴史ある建物が多く、音楽や美術などの文化が盛ん、気候も穏やかでご飯も美味しい最高な国という感じでしょう。

 

私自身もそうしたイタリアの美しい部分は大好きです。元々留学した理由はイタリア音楽の歴史やオペラを知りたかったのが目的でしたし。

 

 

けれど、この国で外国人として生きる事は学生は比較的簡単なものの、仕事をするとなると多くの壁に当たります。

 

日本にいる方が税金も少なくて済むしずっと面倒な事がないけれど、それでもこのトリノの街に愛着があり、運よくこのまま仕事が出来る事になったので苦労は今後も続きますが時々ブログで愚痴り?ながら生活していきたいと思います。

 

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