FACCIAMO LA MUSICA

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本番直前と本番の日の過ごし方

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普段の過ごし方や練習の仕方というのは自分の実力に関わってくるので、地道に頑張る以外ないのですが、本番直前の過ごし方で演奏は随分と変わってきます。

 

これまでの体験談等も含めて本番直前と本番の日の過ごし方や意識の仕方について書いていきます。

 

 

 

 

 

 

本番を良い状態にするために

コンクールや演奏会、発表会など、人前で演奏すると緊張して普段の力が発揮できず、どうして上手く弾けないんだと思う事は楽器を演奏するほとんどの人が経験する事でしょう。

 

プロになっても、どんなにキャリアを積んで実力があっても、本番で失敗する事だって起こらない訳ではありません。

 

もし本番で失敗したり上手く弾けなくても落ち込んだり、自分には才能がないと思う必要はありません。誰もが通る道です。

 

 

ただ、失敗や本番で後悔しないために、最善を尽くすことを繰り返す事が大切です。

そうする事でどう過ごせば本番で良い状態に持っていけるかという事がわかってきます。

 

 

いい緊張は能力を2倍にする

いい緊張は能力を2倍にする

 

 

自分の実力と現実を知る

弾いている時は意外と自分がどう弾いているかという事に気が付かず、「あれ、結構上手に弾いてるんじゃない?」と自己満足する事もあるかもしれません。

 

しかし、これで終わってしまうとそれ以上の成長が見込めません。

 

 

特にコンクールではこうした慢心が大きな落とし穴になります。

本番前に限らずですが、特に本番前まで気を抜かない為に、目標レベルを高く持っておくことが大切です。

 

私が中学2年生の時に学生音コンを受けた時、まだその時は中学生のコンクールのレベルがどういうものかよくわからなかったので当時持っていた五嶋みどりさんの演奏の録音と同じくらい弾けたら予選は通るだろうと思い、それを目標にして練習していました。

 

まず中学生で五嶋みどりさんレベルで弾ける人はまずいません。(テクニック的な話というより、音楽的な事やキャリアがまず違います)

私も結局彼女の様に弾く事は不可能でした。

 

けれど、無理とわかっていてもそこを目指す事に価値があると思います。

 

 

毎日自分の演奏を録音してプロのソリストの演奏と聴き比べてその差にショックを受けていました。

 

まだ曲がまとまっていない時にやるより、ある程度完成度を上げた本番前に自分の録音と上手い人の録音とを比べるた方がより効果を発揮すると思います。

 

 

特に若い学生のコンクールでは、数週間前にボロボロでも本番までに物凄い勢いで完成度を上げて結局コンクールではいい結果を取ってしまう子もよく現れます。

 

なので直前の慢心というのは非常に危険な事です。

そのためにも現状に満足せずに常に高い目標を持って、直前までより良い演奏になる研究を続けることが大切です。

 

 

どんな状況でも弾けるようにする

本番が自分の思う様に予定が必ずしも動くかその時にならなければわかりません。

 

例えば、会場に行く途中で電車が止まった、通行止めになった等、何かしらハプニングがあって自分の出番ギリギリに着いてウォーミングアップなしで本番に挑まなければならない事もあるかもしれません。

 

もちろんそういった事が毎回起こる訳ではありませんし、起こらない様に万全の準備をする必要はあります。

 

しっかり準備が出来る時と出来ない時では演奏は変わるので、良いコンディションになるように行動するのは当然です。

そういった状況でもすぐに弾けるように、本番前数日はウォーミングアップせずにいきなり朝起きてすぐに曲を通してみたり、学校や出先から帰ってすぐに曲を通す等していきなり弾く状況にも慣れると良いと思います。

 

これは、受験の時に聞いたアドバイスでした。

 

受験の時こそ音出しが限られていたり、地元から遠く慣れない環境で過ごさなければいけない事を見越してどんな状況でも自分の力を発揮する練習をしておくという話でした。

 

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緊張とコントロール

本番で緊張する事は悪い事だと思いません。

 

寧ろ私は緊張しない時があるので、本番で緊張しない事が問題でした。

 

緊張しないという事は集中していないという事にもなります。

なので一概に緊張が悪い事ではありませんが、演奏している時にコントロールが出来なくなる緊張はよくありません。

 

緊張して弓が震えてしまったりビブラートが掛からない、もしくは掛かりすぎたりというコントロールが必要な部分が機能してしまう事は問題です。

 

 

藝大時代学年一番の成績だった同門の先輩は「結論をいえば、緊張でコントロール出来ないというのは練習不足。練習をしていればコントロールは出来る様になる。」と言っていました。

 

確かに沢山練習した曲は自信を持って弾く事が出来ると思いますし、失敗も少なくなります。

 

この境地に立つために私もコンクール前の夏休み一か月毎日9時間練習したこともありました。

しかし、緊張してもコントロールが出来たかというとそうでもありません。

 

沢山練習する事を続けて1年や2年後にコントロール出来るようになってきたな、というの感じでした。

 

先程本番直前の頑張りは大切と言いましたが、普段から沢山頑張っている人には敵いません。

 

 

それでも出来るだけ緊張を少なくしたいと思うなら本番に対する意識の仕方を変える事です。

 

まず、本番、人前で演奏する事を嬉しい事を思えるかで緊張も変わります。

 

コンクールや受験など、プロの演奏家が自分の演奏を聴いてくれる訳です。

普通に発表会や演奏会をしても彼らが私に関心を持って聴きに来てくれることは普通あり得ません。

 

しかし、コンクール等になるとそうした素晴らしいプロが審査員とはいえ、私の演奏を聴いてくれると思うと非常に貴重な体験だと思います。

 

この事に対して「間違えたらどうしよう」ではなく「こんなすごい人が聴いてくれるなら、私は音楽が好きだということを知ってもらう演奏をしよう」と前向きに考えると本番も楽しくなると思います。

 

 

また、緊張で体を固めないためにも演奏前に腕を伸ばしたり特に上半身のストレッチをしておくと体が動きやすくなります。

 

 

 

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最後に

 小さい時から本番に対する意識はポジティブだったのであまり人前で弾く事を苦だと思った事がないのでその点では私は演奏家向けな性格をしていたのかもしれません。

 

もちろん今でも本番で緊張します。寧ろ緊張が合った方が集中力が高まるので必要な事です。

 

コンクールや試験、演奏会等、誰かに演奏を聴いて貰うなら、不安よりもそのことに喜びを感じる様にしています。

 

私の先生も「人に評価される場面でも演奏会で弾く様に、間違えや失敗の不安を考えるのではなく、自分の素敵な所、演奏する曲の素敵な所を沢山アピールしなさい」と言っていました。

 

本番までは自分に厳しくシビアでいる必要があると思いますが、本番で弾く時は音楽を楽しめると緊張の仕方も変わってくると思います。

 

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