FACCIAMO LA MUSICA

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ヴェルチェッリで演奏してきました

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先週トリノから電車で約1時間のヴェルチェッリ(Vercelli)という街で演奏してきました。

 

以前オーディションで優勝して、その特典として今回演奏会に出演する事となりました。

 

 

 

 

 

カメラータ・ドゥカーレ主催

以前の記事でカメラータ・ドゥカーレが主催しているオーディションに参加した話を書きました。

 

先週出演した演奏会はそのカメラータ・ドゥカーレが主催したオーディションで選ばれた人による演奏会シリーズの一つでした。

 

violinoarco.hatenablog.com

 

ソリスト部門では私ともう一人、チェリストが選ばれ、アンサンブル部門では3グループが選ばれています。

 

この日は私ともう一人のソロ部門で選ばれたチェリストとのジョイントコンサートの様な感じでの演奏会となりました。

 

 

Museo Leone

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この日の会場はムゼオ・レオーネ(Museo leone)というヴェルチェッリの考古学博物館の中庭でした。

 

外でどんな音響かと思っていましたが、四方が大きな柱で囲われているからかある程度響きがあり、外で弾いているという弾きにくさを感じませんでした。

 

元からオーディションで選ばれた人はMuseo Leoneの中庭で演奏会を行うのが恒例だそうで、コロナの影響でお客さんは来ないかなと思いましたが、思ったよりも多くのお客さんが来てくださいました。

 

カメラータ・ドゥカーレは若い演奏家の応援に力を入れており、地元新聞にも私たちの演奏会の情報を載せて貰ったりと色々な事をしてくれました。

 

 

苦手なMC

私は日本での演奏会で演奏の前後に曲や曲に関連した事等を話すMCをしてきたものの、決して得意ではありません。

 

2年前に帰国した時にMCをした時も一緒に弾いてくれたピアニストがとても話をするのが上手で、私の話下手さが余計目立って人前で話す事も上手くならなければと思いました。

 

イタリアで演奏会をする時も演奏会によってはGuida all`ascoltoといって、曲解説をする事もあります。

 

私はイタリア語が下手なので、演奏会で話すのは演奏が終わってアンコールをする時に簡単な挨拶と曲名を言うくらいがせいぜいでした。

 

今まで一緒に出演するイタリア人に頼んでやって貰ったり、Guida all`ascoltoをしてくれる人を別で頼んだりしていたので本格的に人前で多く話す事はしてきませんでした。

 

 

ところが今回は一つの演奏会に他の演奏者がいるとはいえそれぞれソロを弾くので頼むことが出来ません。

ヴァイオリン無伴奏の曲3曲を弾かなければいけないのでこれを演奏者自身が曲解説してほしいとの主催側からのお願いに狼狽えました。

 

人前で弾くよりも人前で下手なイタリア語で曲解説という高度な内容を説明する事が私にとっては演奏よりも困難なことでした。

 

私達日本語のネイティブから見て外国人が日本語を間違えながら一生懸命話している様子は可愛いなとか、頑張っていて凄いなと感じると思います。

 

イタリア人からもそんな感じで思われていたのか、お客さんは私が話し終えた後にも大きく拍手をしてくれてなんだか申し訳ない気分にもなりました。

 

 

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演奏後の質問コーナー

カメラータ・ドゥカーレ主催の演奏会はヴェルチェッリの地元の人と若い演奏家を結ぶ事も目標にしているらしく、演奏後にお客さんが演奏者に質問する時間が与えられました。

 

私はイタリア人でないので、やはり「なぜトリノという街で勉強する事を選んだのか」「親は私がイタリアに行く事をどう思っているのか」といった外国人だからされる様な質問もされました。

 

これらの件はそれこそ主催だったカメラータ・ドゥカーレと関わりが少なからずあり、行きつくところについに来たかなと私も思っている所です。

 

最もトリノに興味を持ったのは以前も書いた通りトリノをはじめとしたピエモンテ州出身のヴァイオリニスト、ヴィオッティについて高校、大学時代調べていた事が始まりでした。

 

violinoarco.hatenablog.com

 

その影響でトリノに訪れた事、ヴィオッティを調べていたら自ずとカメラータ・ドゥカーレがこれまた主催しているヴィオッティ・フェスティバルの存在も知ることになります。

 

日本でトリノの音楽院で教えている先生と知り合った事もあってトリノを選んだ訳ですが、私のトリノを選ぶ最初のきっかけは紛れもなくヴィオッティという約250年も前のヴァイオリニストの存在でした。

 

大学時代に既に数多くのヴィオッティの作品を録音した室内オケのカメラータ・ドゥカーレとそれを率いるヴァイオリニストのグイード・リモンダ氏を知っていたので、大学時代の私にはある種憧れでもあった彼らと現在関わることが出来ている事が嬉しい訳です。

 

 

もう一つの、イタリアに行く事について親はどう思っているかという質問は、「やれる努力はしなさい、あとはなるようになれ」という感じです。

 

私の両親は音楽家でもなければ、凄く音楽の世界を理解している訳でもありません。

 

母に関してはクラシック音楽が大好きなので色んなアーティストや曲を知っていますし高校までは私の練習にかなり口を出していました。

ただ、留学の事情や音楽家の事情が詳しい訳でもなく、イタリアに行ってからはかなり放任主義になったなと感じます。

 

イタリアは30代40代になっても両親と一緒に住み、両親も子供の世話を成人になっても焼きたがる傾向からすると私の両親の放任さを変だと感じるかもしれません。

 

 

 

最後に

嫌な話になってしまいますが、現在はイタリアの音楽院のヴァイオリンのレベルは全体的に決して高い訳でもなく、寧ろイタリア人で頑張って勉強する子達の多くはドイツやイギリス、オランダあたりを目指します。

 

そういったイタリアのヴァイオリンのレベルを知っている人からするとよほど学校のレベルも質も高い日本の方がいい環境だと思うかもしれません。

 

ただ、私の場合はイタリアオペラにも関心があった事で積極的に劇場に足を運んだり劇場のアカデミーや他の学校にも通ったりとやれることが多く、最終的にはトリノで多くの事を学ぶ事が出来ました。

 

 

演奏会のまとめから逸れてしまいましたが、私のトリノに来たかった理由だった存在でもあったカメラータ・ドゥカーレのお陰で今回演奏する機会があった事を嬉しく思います。

 

また早速今週末もカメラータ・ドゥカーレの室内オケの演奏会に乗るのでまた数日後にはヴェルチェッリに行く事となります。

 

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