È bella città Bardonecchia~バルドネッキアとこの数日の話~
7月19日からフランスの国境が歩ける距離にあるピエモンテ州の端にあるバルドネッキアという街に来ています。
山に囲まれているので天候が例年不安定なのですが、今年は天気も良く程よく涼しくて快適です。
バルドネッキア
以前にも他の記事で何度かバルドネッキアの話を書きましたので良ければご参照ください。
バルドネッキアには毎度演奏会や講習会の目的で行っているので、もはや私にとってはなじみ深い街になってきました。
今回訪れた目的も、私が留学を始めた時からずっと籍を置いているピネロロ音楽アカデミーが運営している夏の講習会と演奏会のためです。
バルドネッキアの講習会についても以前の記事で説明しているので詳しくは記事をご参照ください。
バルドネッキアは山に囲まれた街なので夏のこの暑い時期でも秋くらいの涼しさなのですが、昨日は天気も良くそこそこ暑かったです。
バルドネッキアに行く前の日の話
バルドネッキアに行く前の日はヴェルチェッリで演奏会、というよりコロナの緊急事態宣言解除後のヴェルチェッリ市の多大な協力の元での一大イベントでした。
開始時刻が21時15分でしたが、曲のプログラムがそこまで長くない事から終電には間に合うだろうと思ったのですが、曲と曲の間にヴェルチェッリの市や医療関係の方たちが入れ替わり話したので結局このイベントが終わったのは深夜0時頃になりました。
イベント自体は素敵だったのですが、とにかく来賓の方が多く、お話が長かったので長い時間待って夜遅くまで演奏しなければいけないのが少ししんどかったです。
終演が深夜になったのでお陰で終電には全く間に合わず、どうしようかと困りました。
しかし、トリノまでは送れないけどトリノの手前の街までなら遅れるという、車で来ていた他の出演者に送ってもらいました。
トリノまで自力で戻れそうになかったので、降ろしてくれた場所に住んでいる知人の家に泊めてもらいました。
屋内での大きなイベントができないので臨時で作られた野外ステージで演奏したのですが、とにかく虫が多く、譜面台や衣装等に落ちてきて弾きにくかったです。
夜の野外でのステージは屋内は虫が苦手な人にはしんどいだろうなと思ました。
ヴァイオリン オンラインレッスン | SAWAヴァイオリンオンライン教室
バルドネッキアで演奏
19日の朝に家に帰ってオンラインレッスンをいくつか行い、その後トリノを出発し、お昼過ぎにバルドネッキアに着きました。
着いてすぐにレッスン(受ける側)で、5日前から始めたミルシュテインのパガニーニアーナを不本意ながらレッスンに持っていきました。
言い訳臭くなりますが、これまでにもオンラインやピネロロでレッスンを受けていた事と、レッスンで何度も先生が同じ曲を見たがらないので、レッスンで持っていく曲のネタ切れになりつつありました。
他にも持ち曲はたくさんあったのに、その日レッスンに5日で仕上げたパガニーニアーナを持って行ったのが運の尽きでした。
伴奏助手の方が翌日の演奏会に誰を出すかという話をしていると「他の子は人前で弾く準備できてないし、佐和、明日教会でパガニーニアーナ弾いておいで」と先生に言われ、レッスンの消化もしないままに演奏する羽目になりました。
この日のレッスンで一つ、先生と面白い話をしました。
先生「以前演奏会をした時にパガニーニのカプリスの24番を演奏会のプログラムの最後にしたんだ。
その後、アンコールにパガニーニアーナを演奏した。最初、お客さんはまた24番かーという反応をするけど、後からどんどん違うメロディーが出てきておや、全然違う曲じゃないかと思う訳だ」
私「なるほど、Paganini non si ripeteを演奏会で体現した訳ね」
先生「そんなところかな。ミルシュテインが書いたパガニーニアーナの方が、いろんなメロディーをちょっとずつアレンジしてパガニーニで遊んでる感じがするよね。だからパガニーニを弾いているとはちょっと違うんだよ。」
Paganini non si ripeteとは、イタリア語のことわざみたいなもので、二度と同じことを繰り返さないという意味で使われたりします。
確かにパガニーニアーナはパガニーニのカプリスやコンチェルト、小品等のメロディーを使いながらもパガニーニの世界観とは異なります。
演奏会では曲が良かったおかげで演奏後、カーテンコールとスタンディングオベーションまでしてくれる人がいましたが、演奏のクオリティとしてはまだまだ練習が足りないという感じでした。
しかし、響きの良い綺麗な教会で演奏出来て楽しかったです。
リサイタル
明日22日(日本時間ではもう当日になっていると思いますが)はパガニーニ国際コンクール等の公式伴奏者を務めた素晴らしいピアニストのヴァレンティーナとのリサイタルがあります。
合わせられる時間が少ないというのに、クロイツェルソナタを弾きたいという私のわがままにも付き合ってくれて、その上素晴らしいクオリティで演奏してくれる彼女には頭が上がりません。
意外な事に、彼女も1楽章だけは弾いた事があるけれど全楽章弾くのは初めてだと言っていたのでこんな忙しいのに大変な曲をやらせて悪かったなとも思っていますが、せっかく素晴らしいピアニストと弾けるならピアノが映える曲をやりたくなるものです。
最後に
演奏会とレッスンとその他仕事があって意外とやる事がありますが、バルドネッキアの街を歩くだけで気持ちが清々しくなります。
今泊っているアパートの上の階のご婦人がクラシック音楽の大ファンで、私の勤めるRAIや演奏会の企画をしているUnione musicaleの定期会員だったりと、なかなかの通だという事が判明しました。
アパートでの音出しも嫌な顔一つせず、寧ろ「演奏会に行くからね」とか「うちに上がってお茶でも飲んでいってね」という感じで声を掛けてくれます。
勿論音出しの時間は常識の範囲でやりますが、音楽好きの方だと音出しもびくびくしながらしなくていいので本当に助かります。