近状報告(オーケストラの話)
大変お久しぶりの投稿となってしまいました。
このブログを始めたのは丁度コロナのロックダウンが始まって(特にイタリアは外出制限がとても厳しかったです)家にいる時間が長くなりやることを探そうと、これまでの経験や知識をまとめていこうと思ったのが始めたのがきっかけでした。
コロナ前の様な活動がいつ出来るかという不安もありましたが、オンラインレッスンやこのブログ等、オンライン上での活動を通して新しく知れた事、出会えた人や物も多く、いいきっかけではあったと思っています。
さて、このブログを始めて3年が経ちました。
ブログの更新がずっと途絶えており、ブログの書き方さえも思い出すのが難しいです。(苦笑)
この暫くの出来事を簡単にまとめていこうと思います。
滞在許可証と正団員
2019年の春にRAI国立交響楽団のオーディションに合格し、晴れて正団員になる予定でしたが、実は2020年の時点ではまだ滞在許可証が学生のままで、学生の滞在許可証だと契約に制限があり正団員になれていませんでした。
なので、正団員になるまでの間は契約団員として働いていました。
書くと長くなるので滞在許可証の詳細はまた別の記事にしようと思いますが、就労の滞在許可証の書類を揃える事の難易度がかなり高く、コロナもあり予想以上に時間が掛かってしまいました。
書類が揃い就労の滞在許可証の申請をしたのは2020年の夏でしたが、コロナで移民局もなかなか動かず、結局滞在許可証が手元に届いたのは2021年の年明けでした。
今年に長期の滞在許可証に切り替えたのでこの先10年は更新する事に心配しなくていいので少しホッとしています。
コロナ禍のオーケストラ
RAIは観客を入れた公演に関して非常に慎重だったため、2021の夏頃まで無観客でテレビ放送やオンライン配信の公演のみとなっていました。
普段RAIのシーズン定期公演は木曜日と金曜日の夜に行われるのが通例ですが、観客なしという事で金曜日の公演がなくなり、リハーサルも感染対策の為に短縮されたり編成を小さくしたり、少し寂しいシーズンとなってしまいました。
PCRの検査が必須だったり、口を使わない楽器奏者は演奏中もマスクを必ずつけて演奏しなければいけなかったり、譜面台を共有できなかったりとこれまでになかった事をしなければいけなかったので面倒だな、と思う事も多くありました。
それでもこの厳しい状況の中で2021年にペーザロのロッシーニフェスティバル、ドイツツアー等演奏旅行もあり、活動が出来る保証をしてくれたRAIがあったおかげで多くの経験が出来ました。
コロナの規制緩和
去年2022年の夏以降、イタリアではコロナはほぼ落ち着いたものと世間では認識され、規制がほぼ撤廃となり、前の生活を取り戻すようになりました。
特に2022‐2023年シーズンは寧ろコロナ前よりも忙しいシーズンとなりました。
これまで14型までで公演してきたのが、このシーズンから16型での公演も出来るようになったため、まるでこの二年を取り戻すかのように16型の大編成の曲ばかりで降り番も少なく弾きっぱなしでした。
2022‐2023年シーズンを振り返ると
マーラー 4曲
メンデルスゾーン 全5曲
ショスタコーヴィッチ 4曲
シュトラウス 3曲
ラフマニノフ 3曲
ストラヴィンスキー 1曲
シベリウス 1曲
チャイコフスキー 1曲
…等
不思議な事にこのシーズンはブルックナーが一曲もありません。
これはあくまでシーズンでの編成の大きかった交響曲だけを書き出しただけなので、その他に組曲や協奏曲、現代曲、特別公演分のプログラム等まだまだたくさんある訳です。
もしご興味ありましたら公式サイトでご確認ください。
お客さんからするとオーケストラの醍醐味である迫力のあるプログラムで面白いのですが(私も観客側になったら定期会員になりたい内容だなと思いました)、私達団員からするとペース配分を間違えた100キロマラソンをさせられたようなプログラムでした。
今シーズンの2023‐2024年のプログラムも盛りだくさんですが、全シーズンと比べるとペース配分がましになったので団員の声が届いたのかもしれません。
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演奏旅行
2021年はまだ演奏旅行はそう多くなかったのですが、22年、23年はだいぶ増えました。
RAI以外にも演奏旅行はいくつかありましたが、2022‐2023年シーズンのRAIだけでも
ミラノ
レッジョ・エミーリア
ポルデノーネ
ウーディネ
フェッラーラ
エク・サン・プロヴァンス
ローマ
ブレーシア
ペーザロ
これだけの街に行っており、特にミラノやローマは1回どころか数回演奏旅行しています。
イタリアは元々小さな国の集まりだったので、その名残で異なる街に行くたびに食べ物、建物が変わります。
演奏旅行を毎年これだけしているとベテランの団員さん達はどこの街のどのレストランが美味しいというのをよく知っているので彼らについていけば間違いない訳です。
なのでイタリア国内の演奏旅行は何回しても飽きるどころか楽しいです。
最後に
毎週のように異なる大曲を弾かなければいけない大変さはありますが、団員の人達はフレンドリーでとても幸せな環境で働かせて貰えていると思っています。
また、振りに来てくれる指揮者、共演してくれるソリストも高いレベルの人達で、そんな彼らのすぐ近くで音楽が出来ていると思うととてもラッキーです。
来月9月にはオマーンに演奏旅行で、久しぶりの中東に行ってきます。
良い音楽を届けれる様これからも精進してまいります。