音楽で故人を見送る
先日、私の年上の友達であり、務めている音楽教室の代表者であるご婦人Mさんのお母様が亡くなられました。
お母様の最後の見送りとして演奏をして欲しいと頼まれ、昨日演奏してきました。
イタリアの葬儀
日本でお通夜、お葬式、告別式があるように、イタリアでもお通夜に当たるのがRosario(ロザーリオ)、お葬式、告別式に当たるのがFunerale(フネラーレ)と呼ばれています。
Rosarioは夜に行われ、FuneraleはRosarioの翌日の朝に行われるので日本と似た様な感じです。
カトリックのお膝元のイタリアなので土葬が一般的かと思いきや、現在は墓地の面積が限られている等の関係で火葬も一般的になっているそうです。
今回の友人のお母様もカトリック式の葬儀ではありましたが火葬でした。
葬儀での服装やマナー
葬儀でのマナーに関してはほぼ日本と同じだと思えば大丈夫だと思います。
日本の様に香典の様なものはなく、寄付の小銭を持っていれば大丈夫です。
服装も日本ほど黒でなければいけない、素足を見せない等の厳しい服装の決まりはなく、茶色やグレー、紺、暗めの緑等、暗い色であれば問題ありません。
ジーンズをはいている人もいたので本当に普段着という感じの人が多いです。
また、靴もこの時期なので普通に素足に白のサンダルを履いていた人もいたりしたので、あまりに露出が激しくなければ大丈夫です。
寧ろ真っ黒で来る人が少なく、喪主や葬儀の業者の人も普通のスーツを着ている事が多いです。
神父さんも葬儀の時は白に紫の服なのでカトリックでは紫は死を表す色という事で日本とは色の認識も違うと思います。
コロナの影響
友人のお母様はコロナで亡くなった訳でもなく、年齢が90を超えており、元々の持ち病が急に悪化して亡くなったという事でした。
式自体は制限は厳しくなかったのですが、コロナの影響で勿論全員マスク着用、火葬に立ち会えるのは最大で18人まででした。
席も位置が決められており、距離を置いて座る感じでした。
ロックダウン時は式すらできずにお別れしなければいけなかった事を考えると今は随分ましですが、それでもコロナの影響はここでも大きく現れています。
最後のお別れ
火葬の直前に私はお別れの餞として演奏をしました。
火葬場へ行く小さな扉の前に棺が置かれ、私はその前で演奏する事となりました。
友人のお母様とは実は生前に会う事がなかったのですが、その時になって急に切なくなってしまいました。
友人からはよくお母様の話を聞いていたし、どれ程親子の絆が深かったかと思うと私まで胸が痛くなりました。
友人が60を超えているので周りの人も年齢層が高く、「もう何度もここに来ている」という言葉を聞くと心が突き刺さります。
故人を見送る最後の演奏としてバッハの無伴奏を演奏しました。
ほんの少しでも亡くなったお母様や残された人達の心の慰めや安らぎになってくれたら何よりです。
最後に
去年は生前にも会った事のある、オケの仲間の娘さんがまだ二十歳にも満たずに亡くなってしまい、私にとってのイタリアでの葬儀が今回が初めてではありません。
去年の年末最後の演奏会はRAIのメンバーでの室内オケの演奏会で、その際にアンコールとして演奏した曲はその亡くなった娘さんの為に捧げる演奏となりました。
皆涙を流しながら演奏した事は忘れないし、故人の為に演奏すると思うと色々な気持ちがこみ上げてきます。
私は外国人で現地の人からすれば異教徒ですが、葬儀の雰囲気や大体の決まり事等、故人を想う気持ちは同じです。