FACCIAMO LA MUSICA

ヴァイオリン奏者がヴァイオリンについて語るサイトです

学校内の試験~音高・音大・音楽院~

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音楽の学校に通っていれば必ず試験は必須となります。

 

学校によってそれぞれ試験内容が違い、そこからどの様な教育方針なのかというのが見えてくることもあります。

 

今回はソロの試験を中心に、私のこれまで通ってきた学校の試験がどんなものだったかご紹介します。

 

 

 

音楽高校

私は大学で東京に移るまでは10歳から18歳の間名古屋に住んでいました。

 

愛知県には音楽科のある高校がいくつかあり、その中の名古屋市立菊里高等学校の音楽科に通っていました。

 

この学校の音楽科の試験には音階やエチュードの試験があります。

特に弦楽器は入試で音階が課題に出る音大が多く、半年に一度くらいのペースで音階のみの試験が行われていました。

 

誰もが通る道である音階ですが、これを素晴らしく弾く事は非常に難しいです。

 

人前で恥をさらけ出すような試験で、皆が地獄の様な試験だと思っていたと思いますが

定期的に行ってくれることで音階の練習を3年間ほぼ毎日練習するモチベーションにもなりました。

 

音階やエチュードの、コンクールや発表会では普通弾かないような課題を試験に出してくれた菊里高校には今でも感謝しています。

 

音階以外に、1年の冬にモーツァルトのヴァイオリン協奏曲、2年の冬に自由曲、3年の夏前に任意のヴァイオリン協奏曲の試験があります。

 

室内楽も同様、半年に一度試験があり、学年毎に勉強する室内楽の編成と作品が大体決まっています。

何故編成や課題が室内楽にも最初から決められているのか先生から説明された事がありました。

 

また詳しくは室内楽編でご紹介します。

 

 

実技系の試験は基本的に他の人の演奏は聴くように言われています。

 

審査する科の先生は勿論講評を毎回書いてくれるのですが、生徒も人の演奏を聴いてその人に感想や講評を書いてあげるシステムがあり、最終的に互いを切磋琢磨出来るものとなって良かったと思います。

 

音大の受験に関して実技、その他でも皆で応援し合う雰囲気があり楽しく受験やコンクール等を乗り越える事が出来たと思います。

 

藝大

東京芸術大学では年に一度、それも完全自由曲もしくは任意のヴァイオリン協奏曲という感じで試験の数は少なかったです。

 

持ち時間も卒業試験の20分が最も長く、それ以外の試験では10分や15分程度です。

なので、たった1曲でその年の成績が決まってしまう訳です。

 

ヴァイオリンの場合、大学1年で福島賞、大学3年で藝大フィルと協奏曲の共演ができるモーニングコンサートの出演権と安宅賞、大学4年で同声会賞、読売新人演奏会出演権、藝大フィルとの新人紹介演奏会出演権といった成績優秀者に対して賞が与えられます。

 

私の頃は無かったのですが、今は入試の成績でも賞が付くそうです。

大学時代はお恥ずかしながら、留年もせず無事4年で卒業しましたが、全くやる気がなかったので非常に出来の悪い生徒でした。

 

卒業試験で(確か…間違っていたらすみません)85点以上の成績に着く優を貰って安心していたレベルなので今になって思うと何故大学時代あれほどやる気がなかったのか不思議に思います。

 

 

何せ芸大生はそれぞれ演奏会やコンクールに個人で演奏するチャンスが多い事、芸大の先生方が忙しい等の理由で試験の回数は少なくて結構、という気がします。あくまで個人的な見解ですが。

 

講評、評価も、試験後に先生と話せそうなタイミングを見計らって講評を聞くという感じで、タイミングを逃すと講評を聞くことが出来ません。

 

 

試験の数や内容を考えると芸大は生徒の自主性に任せる様な感じです。

 

3年の秋の学内演奏会と4年の冬の卒業試験は毎年奏楽堂で無料公開で行われるので聴きに行ってみると面白いと思います。

 

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トリノ国立音楽院

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日本の音高音大と比べると試験の内容が多いです。

試験の数自体は一年に一度ですので決して回数は多くはありません。

 

音楽院の説明は他の記事で何度かしているのでご興味ございましたらご確認ください。

 

violinoarco.hatenablog.com

 

 

私の時は一年次の試験内容が

 

この二つですが、全楽章なので二曲合わせると1時間前後のプログラムになります。

試験はレッスン室で大きめの部屋で行うので審査する先生は3~5人くらいです。

 

 

二年次が(卒業試験)

 

こんな感じで結構多いです。

そして、日本語で説明する事が難しいので変な説明になってしまいましたが、最後の項目は確かにこのような感じで書かれていました。

 

 

現代曲という指定ではないのですが、演奏される機会の少ない曲となればおのずと現代曲になります。

私が試験を受けた時も私はこの項目では現代曲を演奏しました。

 

卒業試験なので音楽院のホールで演奏する事になります。

 

古いホールではありますが、響きがとても良いです。

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卒業試験後の写真 音楽院の親友たちと

そして、卒業試験で110点(総合点の満点)だと翌年度の音楽院の演奏会に出演する事が出来ます。

 

それに加え、合計点が110点を超えると110点+lodeという扱いなります。

また、menzione d`onoreと言われる最も優秀な人に贈られる賞があります。

 

私はこの110点lodeとmenzione d`onoreを貰い、翌年度に音楽院とRAIの友の会が企画する演奏会に出演しています。

 

 

因みに首席、満点で卒業したけれど、他の楽曲分析や音楽史の成績が悪くて(主に語学の問題)何度も試験に落とされています。

常に再試をしていた困った生徒だった上に、スカラ座トリノ王立劇場など他の所へあちこち渡り歩いていたので音楽院の室内楽やオケの授業に出れずに先生に怒られたりもしました。

 

なので出席日数もギリギリで、2年で終えるところを私は3年で終わっています。

 

イタリアの音楽院では実技(ソロ含め室内楽等演奏系)試験の点数の割合が高いので演奏が良ければイタリア語が拙い私の様な人でも満点を取れてしまいます。

 

散々音楽院の先生方にはご迷惑をおかけしましたが、スカラやその他の活動や勉強の為だと、決して何もせずサボっている訳でもない事を理解して下さいました。

厳しくも誰よりも私の音楽家としての道を応援してくれる先生方ばかりでした。

 

 

イタリアの音楽院ではソロ、室内楽含め試験の回数は少ないのですが、試験の曲数が多い、曲を全楽章弾かせるという感じなので、時間を掛けて準備していく必要があります。

 

そして、オケを目指していた私には大変ありがたかったのが、オーケストラスタディの試験があった事です。

 

音高・音大では私がいた頃はオーケストラ曲の試験など存在しなかったのでこの点は特に素晴らしいなと思います。

 

最後に

それぞれの学校の方針がありますが、どの学校も頑張る生徒を本当に応援してくれる学校です。

 

試験の度に自分に何が足りなかったのか、これからどう練習していくかを考え直す事がこれからの演奏に繋がるのだと思います。

 

簡単に学校内の試験をご紹介しましたが、詳細など気になる方はお気軽にご質問ください。

無料体験レッスンも行っておりますのでご興味ございましたらリンクからお申込み下さい。

www.sawamusicclass.com